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【赤葦京治】炉辺歓談 【短篇集】

第5章 《関係》R18


俺は、のことを、それはもう幼い頃から想い続けている。

家が近所で親同士が仲が良く、よく家族ぐるみで遊びに行ったりもしていた。幼稚園の頃は常に俺がの手を引いて。あぁ、お風呂も一緒に入ってたな。小学生の頃はいつも2人でどちらかの家で宿題をして。中学校に上がって俺が部活を始めると、よく差し入れを持ってきてくれたり、必勝守りを作ってくれたり。そして高校生となった今も、2人で出かけたり、テスト前は俺がに勉強教えたりと、仲の良い幼馴染。

ずば抜けて頭がいいという訳ではないが、細かく教えてやれば直ぐに解き方を覚えるくらいには出来た子だし、運動は小さい頃から一緒にバレーをして遊んできたこともあって、オールマイティに動ける。ツヤツヤの切りそろえられた綺麗な髪は俺のお気に入りで、すっとした瞼の奥には大きな瞳が覗いている。小さなふっくらとしたピンクの唇は汚されないよう俺がずっと守ってきた…と言いたいところだけど、実は小6のとき、が寝た後こっそり奪っておいた。周りの汚い虫どもがの身体を見て恍惚の溜息を付くほどにスタイルもなかなかで、俺はいつもハラハラ、もといムラムラしている。

完璧、とは違うかもしれないが、完全に俺の好みを寄せ集めた「女」へと成長した彼女に益々惚れたのは言うまでもない。

俺は、が大好きだ。いや、愛してると言った方が多分正しい。

でも、現実というものはそうそうドラマや映画みたいに上手くいくものではなくて。俺がどんなにを愛していても、相手がそれに応えてくれるとは限らなくて。はきっと、俺をお兄ちゃんくらいにしか思ってくれていない。「赤葦先輩」呼びが何よりの証拠だ。

は、木兎さんが……、好きだ。

あんなの、俺が適うわけないじゃないか。太陽みたいな木兎さんと、向日葵みたいな。憎らしい程お似合いだ。それでも、俺は木兎さんを嫌いにはなれない。だって木兎さんは、俺にとっても太陽の様な人だから。それがさらに、俺を落ち込ませた。

悔しい、辛い、哀しい。

…だけど、木兎さんは、白福さんと付き合っている。

それはも知っていて。

だからそこに付け入った。
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