第5章 《関係》R18
赤葦先輩が、ずっとずっと好きだった。
梟谷は下は幼稚園から上は大学院までエスカレーター式の学校で、私と先輩は、歳が違えどもずっと一緒にここでで育ってきた。家も近所で、幼馴染。
文武両道、おまけに顔立ちもそこそこ、高身長で良スタイル、性格も良いなんていう完璧な男子。そんな彼とずっと一緒にいるのに、私が惚れない筈はなくて。物心ついた頃には、気付けば先輩のことを好きになっていた。
高校生になった今でも、私は赤葦先輩が好きで好きで仕方がないし、赤葦先輩もそんな私を可愛がってくれている。
私は、赤葦先輩が、好きだ。
…でも、現実は小説や漫画みたいには行かなくて。私がどんなに赤葦先輩が大好きでも、相手がそれに応えてくれるとは限らなくて。
赤葦先輩は、男子バレー部マネージャーの白福雪絵さんのことが、好きだ。
私のいないところで、よく雪絵先輩と話していることも、相談はだいたい雪絵先輩にしてることも、雪絵先輩に何か相談してる時は幸せそうで、でも辛そうで。嬉しそうで、でも泣きそうで。そんな顔をして、たまに頬を染めて、照れたように視線を外して頭を搔くのも、全部知ってる。
そんなの、男バレ1年マネの私には耐えられなかった。白福先輩が、優しくて美人で、私の面倒も見てくれる素敵な女性であるだけに、辛かった。赤葦先輩と並んでいるところがお似合いで、悔しくて、それでも、私は雪絵先輩を嫌いにはなれなくて。
…だけど、雪絵先輩は、木兎さんと付き合っている。
それは、赤葦先輩も知っている。
だから、そこにつけいった。