第3章 《言葉》
さらりと流された。
「え、あ、うん…?ありがとう?」
「なんかね、西日に照らされる脱ぎかけの京ちゃんはね、普通なら『エロい』って言うと思うんだけど」
普通なら人の着替え見たりしないしそれ見てエロいとかも言ったりしないだろう…なんて思ってても彼女には通じないので言わない。
「…うん、それで?」
キラキラした目で言うので、取り敢えず先を促してみる。
「私はね、京ちゃんには、『妖艶』とか『艶やか』とか、そういう言葉が似合うと思った!エロいっていうの、個人的に下品な感じがするからかなぁ?なんていうか、京ちゃんは、着替えにですら上品さを感じる!」
文系の、日本語好きな彼女らしい考えだと思った。
「、それ、褒めてるの?」
だがしかしこれまた返答に困ってしまうので、在り来たりな質問をする。
「えぇー…最大限褒めたつもりだったんだけど…つまりはね、京ちゃんはそこそこイケメンで、上品で、高身長で、頭も良くて、スポーツもできて、身体付きも綺麗で、性格も問題ない、私の大好きな京ちゃんってことが言いたいわけです」
突然の連続爆弾投下攻撃に、思わず顔が熱くなる。どうやら俺は面と向かって言われるのに弱い様だ。今更気付いた。
「あとね、それとね」
尚も続けようとする彼女の口を手で塞いでやめさせる。
「うん、よく分かったから。ありがとう。いい加減恥ずかしいからヤメテ」
そろそろと下に目をやると、彼女の視線と絡まった。
そのままにっと笑って、
「どうせ塞がれるなら口で塞いで欲しかったなぁ」