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世界は恋に満ちている。

第1章 一緒に帰ろう。


次の日。
階段の下に行くのは少し遠かったため時間に余裕をもたせていくと、10分も早く着いてしまった。
暇だなと思いながら家の塀に寄りかかり音楽を聴こうとしてイヤホンを耳につけようとしたその時、
急にその家の玄関が開いたのでびっくりして塀から離れる。
塀に寄りかかってて何か言われたら出かける前に嫌な思いをする。
早く出て行かないかな。という思いを胸に立ってると
名前を呼ばれた。

「ひな?!」

また、聞いたことのある、優しい声。

「くりちゃん?!」

思わず、名前を叫んでしまう。

「なんでこんなところにいんだよ!」

「くりちゃんこそ!なんでこの家…」

目を向けた先、塀につけられた表札に『栗田』の文字。

「えぇっ?!くりちゃんち?!」

「…あ、あぁ。」

先生は少し目をそらしながら恥ずかしそうに言う。
あんな出来事があったことを思い出して2人して顔が赤くなる。

あぁ、もう…忘れようとしてたのに…なんでこんなところで会っちゃうのかな。
頑張って気持ちをなくそうとしてたのが
ばかみたい。

「…くりちゃん」

ひなが口を開いた。

また…涙が…。

「ごめんね。」

一言、目に涙をため一生懸命にそれをこぼさないように言った。
先生は目を見張った。

「ごめん。」

次の一言で涙が落ちる。
と、同時にひなは急に腕を引っ張られた。

「っ?!」

驚いたままなにが起こったかわからないでいると、
先生の家の玄関に連れてこられた。

そこの一段高くなっているところに、押し倒される。

覆いかぶさるように先生が上にきた。

「俺がいつ、ひなのことを嫌いって言った?」

………なんで、そんなこと言うの。
嫌いになりたかったのに。
先生の重荷になりたくなかったのに。
邪魔だと思ってたのに…。

反論しようとして口を開く。

「だってく…っんんっ!」

その出かけた言葉を遮るように、キスをされる。

今度はながい、ながい大人のキス。

息が続かなくなって、吐息が漏れる。

「んっ、……ふぅっ…くりちゃ…」

それに応えるように、先生は唇を離さないまま…

「好…っきだ…よ」

ひなの目が目開かれた。
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