第1章 一緒に帰ろう。
「…えっ…。」
顔を赤くしたまま、固まる先生。
ひなは自分のしたことに気づき、顔をまた真っ赤にした。
しかし、ふっ、とひなは微笑んで
ネクタイをグイッと引っ張り先生にキスをした。
ただ唇が触れるだけの、ぎこちないキス。
「忘れて。」
何やってるんだろう。自分から関係を壊して。
そう思うと涙が出てきた。
涙でぐしゃぐしゃの顔を頑張って微笑みさせて
走ってその場を去る。
なにをしているんだろうか。
相手は先生で、自分は生徒だ。
あっちだって迷惑に決まっている。
また気持ちが溢れだし涙が出る。
泣いても泣いても止まらない。
その日、ひなは泣き続けた。