第3章 長年片想い
人生、生きていればいいことはある。
普通にそんなことを耳にするけれど、こんなちょっとした幸せで胸がいっぱいになって、”生きていてよかった”と思える安い私。
相変わらずだな〜、自分。
と思いながらとぼとぼ考えて歩くこと15分。
うねうねとした道を上ったり下ったりしながら家に着く。
門を開けて、数段しかない階段をだるそうに上る。
玄関までのほんの短い道ですらだるく感じてしまう。
『あぁ、なんかじじいJKって感じだな。』
と自分で自分をけなしながら玄関のドアを開ける。
「ただいまー」
大声で靴を脱ぎながら言うと、
「「「「おかえりー!」」」」
といろんなところから声がし、歓迎されたような感じになる。
相変わらず我が家はうるさい。
兄と姉と自分と弟。プラスお母さん。
お父さんは今は出張。
居間までの短い廊下を通り、居間のドアを開ける。
兄「うぇーいっ!おかえり!」
姉「おかえりんごジャムー!」
弟「うぃっすっ!」
母「おかえり〜」
4人がそれぞれの挨拶を一気に交わされ
「うぇーいうぃっすただいマンゴーただいまー」
器用に4人分挨拶を返す。もう慣れたものだ。
でも、そろそろうざい。
あぁ、家族がこんなにもだるいなんて。
少しのことでイライラしてしまう。
これが思春期ってやつか。