第7章 あとがき
このお話を書いたきっかけは縁下くんの人間臭さを表現したくてです。
そして"雨"がテーマだったので、ちょっと変わった女の子と関わったらいいなと。
深い意味はないんです。
ただ、彼の優しさや不器用さ、罪悪感など全面一杯に出したらこうなりました。
彼らが付き合わなかったのは、お互いに幸せになれないと分かったからです。
お互い好きだけれど、でも縁下くんにはやはり「罪悪感」と言うものがあります。
そして夢主にもまた「自殺しようとした過去」があります。
それって時間が解決してくれるなんて生易しいものではないと思うんです。
そして付き合うとなるとお互いに深い場所まで知り合っていくことになると思うんです。
彼らは十分にお互いの深い場所も弱い場所も見せ合ってきました。
そして傷ついてきました。
これ以上お互いにお互いを傷つけあうことはしたくなくて。今回このような結果になりました。
それでもやはり好きなんです。
その気持ちに嘘はありません。
だから彼は最後泣いたんです。
これからもずっと"友達"として接しなくちゃいけない。
いつか彼女に彼氏ができて結婚して子供ができたとしても、"友達"としていなくてはいけない。
そして縁下君にも好きな人ができて彼氏になって結婚して子供ができたとしても、一番胸の奥にいるのは夢主です。
でも夢主は彼女ではないので一番ではない。
一番ではないけれど消えない想い。
夢主も抱えている気持ちは同じです。
だからきっと彼が知らないところで涙を流していると思います。
そういうなんとも複雑な思いを抱えたまま彼らは大人になります。