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Umbrella【縁下 力】

第6章 Umbrella【6】





「縁下くん、あのね」

次の日の昼休み。
に呼び出され、俺は屋上へ続く階段へと向かう。
彼女が何を言いたいのかわかる気がする。
俺も同じことを考えていると思うから。

「言わなくていいよ。俺もきっと同じことを考えている」

そういうと彼女は悲しそうにだけど安心したように笑った。

「別れよう」

たった、たった1日だけの彼氏彼女という関係。
それでもよかった。
それだけで幸せだった。

「うん、そのほうがいいね」

彼女もまたそれを望んでいる。
俺達に恋人という関係は重すぎた。

俺はが好きだ。
その気持ちに偽りはない。
も俺が好きだ。
その気持ちに偽りはない。

だからそれ以上の関係を望んではいけない。

「私、縁下くんが好き。嘘じゃないよ」
「うん」
「でも、私は縁下くんと付き合えない」
「うん」
「縁下くんも同じ気持ちだよね」
「うん」

彼女は泣いていた。
俺も泣いた。
悲しみではない。
けれど寂しさが二人の胸の中に宿る。

「縁下くん」
「ん?」
「縁下くん」
「ここにいるよ」
「これからも私と"友達"でいてくれる?」
「……もちろんだよ。"友達"としてこれからも仲よくしてほしい」

そして俺達は"恋人"から"友達"の関係に戻った。


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