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Umbrella【縁下 力】

第4章 Umbrella【4】





そしてGWの日。
俺達は宮城へと向かった。
も同伴してもらう予定だったが、前日に38度の熱を出したと彼女の母親からコーチに連絡が入ったらしく、今回の遠征から外れることとなった。
熱の理由を本人に聞いてみたが「大丈夫」の一点張りだった。

モヤモヤとした感情を抱えながら俺は新幹線へと乗り込んだ。
そして一日一日と練習試合を行ってGW最終日。
因縁のライバルである烏野高校へと向かいそして試合をやった。

結論を言えば、音駒の方が実力は上だった。
しかし化け物みたいな奴が二人いて、正直こいつらが成長したらとんでもなことになるだろうと確信した。
こいつらと全国で闘ってみたい。

「ありがとうございました」

烏野主将の澤村クンと「友達」となり俺たちは東京へ帰ろうとした。
その時、

「縁下この後飯行こうぜ」
「いいよ。どこ行く?」
「俺ラーメン喰いたい」

えんのした、と聞こえた気がした。
えんのしたってが一度だけ口にしたあのえんのしたクンだろうか。

見た目的にあまりぱっとしない印象だが穏やかな空気が彼の周りを泳いでいる。

聞いてみてもいいのだろうか。
「えんのしたクンはを知っていますか」と。

「クロ、行くよ」
「お、おう」

研磨に急かされ、聞くことができず俺は仙台駅へ向かうバスへと乗り込んだ。
バスに乗っている時に研磨に先ほどのことを聞かれ、
とえんしたクンの話をしたら心底どうでもよさそうに「ふうん」と言うだけ。

ほんの少しだけ居心地の悪さを感じながら俺はゆっくり瞳を閉じた。

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