第3章 Umbrella【3】
放課後、部活見学に来た二人はその日を持ってバレー部に入部した。
長年マネージャーがいなかったためか、男子どもはガッツポーズをして大いに喜んだ。
特に研磨と同じ学年で入部してきた、山本猛虎と言う男は涙まで流している。
マネージャーどころか今まで部活をやってこなかったにとっては仕事するのはとても大変らしい。
最初は新入部員を一緒に業務をこなすが、練習ともなるとほとんどが一人で仕事をしなくてはいけない。
マネージャーとして入部して早2ヶ月。
今だに仕事に慣れない彼女は先輩たちからは呆れられているのを知っている。
先輩たちが見ていない隙に他の一年生や俺達が手伝うこともある。
彼女がこのままやめてしまわないか不安だった。
6月中旬。
雨が降る季節、研磨と三人で帰る道、彼女に聞いてみた。
「部活はどうだ。慣れたか」と。
「お仕事って大変ね。全然覚えられない」
「まあの場合は初めての部活動だし慣れないのはしかたないんじゃない?気にしない方がいいよ」
「研磨の言う通りだぜ。お前のペースで仕事すればいいんだよ」
落ち込んでいるかと思ったけど、そんなことはないらしい。
彼女はにっこりと笑って足元の水たまりを踏んだ。