第3章 Umbrella【3】
それから俺は中学を卒業して音駒高校に入学をした。
途中まで研磨とと登校して途中で別れる。
そんな毎日を繰り返して季節が巡って、あっという間に1年が経った。
この1年、いろいろあったと研磨から聞いた。
のいじめは日に日にひどくなっていったらしい。
隣に研磨がいるときはそう言う行為はないらしいが、男女別の体育やトイレに行っている数分の間にいじめに遭っていたという。
それでも彼女は弱音などみせず、毎日笑って過ごしていた。
あの日、俺に見せた涙をまた隠して自分の想いに蓋をし続けて、どれだけ苦しかっただろう。
だけど、それもおしまいだ。
なんていったって彼女は俺との約束を護って音駒高校に入学してくるのだから。
高校では中学のようにはいかせない。
には心の底から笑っていてほしい。
「入学おめでとう、研磨に」
「……」
「黒尾くん進級おめでとう!」
「おい、それどういう意味だ」
同じクラスだという彼らのクラスに顔をのぞかせば、研磨は嫌な顔をして俺をみるし、は嫌味な言葉を投げかける。
楽しそうに笑う彼女の顔をみて、俺も口を緩ませる。
「部活見学くるだろう」
「まあ」
「一緒に行こうって研磨くんとさっき話してたんだ」
「そうか。じゃあ、また放課後に会おうぜ」
そう言って俺たちは別れた。
バイバイと手を振る彼女は本当に楽しそうだ。
彼女の笑顔を思い出してにやける口元を押さえた。