【R18 ハイキュー!!】幼なじみ 赤葦京治との場合
第3章 告白スルーは他人のはじまり
「ねぇねぇ、赤葦って今誰か付き合ってる子いないよね?」
甲高い声に振り向くと、バレー部のマネージャーさんがいた。
3年生の……名前は……なんだっけ……
昼休みの図書室にそぐわない声に、おもわず
「シーッ」
指を口に当てると、
「あ、ごめんごめん」
声を潜めた先輩が小さく舌を出す。
この人、愛嬌がある。
「でさ、赤葦のこと。彼女いるか知ってる? 私の認識では今いないんだけど」
「なんで私に……?」
「あれ、だって赤葦と仲いいよね、たしか」
「別に……」
仲良くはない。ただ……
「幼馴染なんでしょ? って木兎から聞いたけど」
京治と私は、なぜか幼稚園も、小学校も、中学校も一緒だった。
東京23区、沢山学校はある。
なのに、偶然ずっと一緒で、小学校からは引っ越し先のマンションも同じのご近所さん。
親同士も当然のように幼稚園時代から仲良し。
小さい時からワンセット。
困ったことがあれば京治。
勉強みてもらうのも京治。
お弁当忘れて届けてくれるのも京治。
いつも生活の中に、京治がいた。
……でも、それが本当の意味で仲良いとは限らない。
「赤葦って結構ミステリアスじゃん?」
ミステリアス?というか……
「というより感情が出ないでしょ。いつも能面みたいな顔してるし」
「……ですね」
「自分のこと言わないし、女子にも必要以外のこと話しかけないし」
小さい頃から京治は何考えてるかわからないところがある。
「だからか、結構人気あってさ~。よく聞かれるんだよね、彼女いるのかとか、好きな子いるのかとか。部活同じだからって私とかが知ってるわけないのにね」
知ってる。
京治は密かにモテる男。
小学校の時から、頭良くて、運動できたし。
物静かだけど、訊けばちゃんと答えてくれて。
いざとなると頼りになって。
「だからあなたなら知ってるかなと思って」