第6章 本当に欲しいモノを逃すのは男の恥

なに?　

どういう意味？

「幼なじみですらなくなったら、俺はどうすればいい？　どうすればおまえのそばにいられる？　なあ、どうすればいい……？」

「京治は、私と幼なじみでいる必要なんて、ないじゃん……」

「ある」

「嘘、本当は困ってたよね?　私が京治のこと好きだって知ってて、困ってたよね？」

「好き」って気持ちは、普通幼なじみの範囲には入らない。

一度幼なじみという規定外の気持ちをどちらかが抱いてしまったら、選択は2つしかない。

もう片方がその気持ちを受け入れてくれるか。

それとも、幼ななじみをやめるか。

「それはっ、……」

京治が悔しそうな顔で言い淀む。

ほら、やっぱり。

「迷惑だったんでしょ。でも京治、優しいから知らないふりしてくれてたんだよね……」

「違うだろっ！」

「………」

「俺は、別に、……優しくなんかない」

「優しいよ」

「それはおまえが勝手にそう思ってるだけど、ホントは、全然優しくなんてない。ただ、幼なじみのままならずっとおまえの横にいられる……たとえおまえが俺のこと嫌いになっても、おまえとはずっと関係してられる、そう思ってただけだ」

どういうこと、それ……

「……難しくて言ってること、わからない」

「……おまえが好きだ」

「……へ？」

「へ？　じゃない。おまえが好きって言ってる」

「……うそだぁ」

「うそじゃない。本気」

どうして？　なんで京治がそんなこと言ってるのかわからない……

「うそ、だって京治、」

「木兎さんを紹介した。昔にも別の男を紹介した。おまえが誰かと上手くいくなら、それはそれでいいって、思った」

「なんで！　なんでそんなこと思うの！？」

好きだったら、自分のものにしたいって思うんじゃないの？？？

「おまえが、幸せなのはどっちなのかって考えたら、きっと幼なじみの俺よりも、他のヤツや木兎さんの方がいい」

「だから、なんでっ！！？？」

「俺は、大したことないから」

は？