第75章 魂と魄の間
『ワタシクなら 新たに浮いたモノなら剥げるぞ』
え 剥げる?
『容易い事』
扇を広げ一振りする。
和也の体から 真っ黒な塊が抜けだし俺の横にくる。
黒い布に巻かれた俺。
和也の中の俺の欠片にまで…
俺の猴を連れて行くな!!
白膠木の院から 和也が無理やり出て来ようとしている。
『なんと 今世の宮も わりなき者か まったく』
院を無理やり 引き伸ばし 我らの傍まで来る和也。
必死の形相を見て ニヤつく楓の君。
『ううん♡ やはり かずなりは ワタクシの好みの
お・と・こ♡
血肉漲る きれきれの演舞が見たいのう それも 大広間でぇ♡』
そのくらいなら やらせれる
『成立や♪』
パシンと扇を畳み 扇の天を和也の方に向ける。
『和也
特性のお薬や それを飲んでぇ、休むとええ。
お日さん出る頃には、あんはん言う、えいちぴ とやらが回復しはるよわ』
妖艶に口角を上げる 扇の親骨を唇にチュッと音を立てる。
一瞬 苦虫を噛んだような表情をした和也だが
直ぐに通常に戻り、両手を高くあげ 恭しく白色の薬包を受け取る
≪楓お姉さまからの御心 大変うれしく思います 嵐二宮 このお薬頂戴いたします≫
礼の言葉を言うて頭を下げる。
『よきよき』
楓の君は満足したようで『ほな』声と共に気配も消える。
騒がしい 方だ…
頭を下げたままの和也に近づく。
和也は両手の上にあった薬包を握りしめる。
いいのか? あのオネエサマ嫌いだろ?
「ああ 大嫌いだ
自分の一族以外はすべて下位だと言い張る奴らを好きになれるか
でも、背に腹はかえられない」
握っていた紙を開き 一気に口に入れる。
「何だって、利用してやるさ 『嵐』を続けるために…」
口元についた粉を払う和也。
そうかぁ つよいな かずなりは…
「そうさ さ 明日もあるんだ 一緒に帰ろう」
和也が優しい顔して手を伸ばしてきた。
帰ろう…
その手をとり 二人で和也の器に帰っていく。