第75章 魂と魄の間
…かぁ…じゅぅ…
うーん だれぞ わを 呼んでんは…
…かぁ…じゅぅ…
起きたくない…
パシン!
頬に ものすごい衝撃で意識がはっきりした。
『このワタクシが呼ぶんを 無視しはるとは いちびりや』
この声は… 楓の君様?
『ほほほ ワタクシを、そん名を呼ぶんは 小猿くらいぞ』
私を小猿と呼ぶのも、あなた様だけです
『ほほほ』
毒々しいほどの煌びやかな振袖を着て立つ楓の君。
オメカシしているということは 嵐の宴にお越しでしたか?
『ええ ワタクシ 美しき楓の木 宴に招待されて当然!』
これまた 豪華な扇を広げる。
『小猿も 華の席に 居たわね 見えとったわ』
はい 我は 華の子として 招待されました
『へー』
興味がない返事をする楓の君。
『でも 身内が アレに成り下がって しまうと 難儀やろ』
目を輝かす楓の君
最悪 そうゆうとこ嫌い
『そう 頬を膨らますな
わりなき小猿を 憂へたるは まことぞ』
どう見えました?
『最初は 演舞の一部と思っとったわ
でも アレは チガウ
御所の警護の者もざわついていたわ
アレが現れても 滞りなく宴を続け、排除してしまう
嵐の従者たちの優秀なのも ねぇ』
お褒めありがとうございます
頭を下げる。
避けた頭をパシンと叩かれた。
『アホなのは 小猿じゃ
また 同じ事をしようとして ワタクシが助けに 行かなければ あのまんま 塵に なっとったぞ』
あーでもしないと 宴が…
『器があったからこそ できた秘術 今の小猿で行えば 今世の宮に どれだけ 負担になるか』
扇の天を下に向ける。
向けた方を向くと ベッドに寝ている和也の体に呪文字がうごめいている。
和也…
『桜の御子の機転があって 今世の宮の傷は浅い されど!』
扇を閉じて開いてを繰り返す音が響く。
和也の器の周りに 椿の精霊 白膠木の精霊
和也の魂を白膠木の院が保護している
桃木の今世の身を削らしたか
自分の衣が朽ちるように粉になり 消えていく。
『聞いおるか?』
きいてません なんですか?
『同じ事を言うのは 性に合わないが ゆうてあげる』