第75章 魂と魄の間
二宮視点
目を開けると 真っ白な空間に浮いていた。
体を回転させ 周りを見回す。
ここは 院の中だな
※院 魂魄の結界
俺の魂魄を保護してくれてるから 味方…でも この感じはメンバー系じゃない どちら様の力だ?
再び体を回転すると 目の前に 真っ黒な 俺 がいる。
「俺?」
あまりの唐突な登場に声が出た。
いや 俺じゃない 猴か? おい
目の前の猴の身体に手を伸ばす。
猴の黒々しい身体が、そのまま俺から離れていく。
おい どこに行くんだよ?
お前は 俺の理解者だろ
俺の側で俺と共に 未練を
「痛っ」
天地の無い空間で 体を動かそうとすると 体中に痛みが走る。
動け 体!
軋む体を奮い起こし、遠ざかる猴の体を追う。
俺の猴を連れて行くな!!
やっとの思いで追いつくと 猴は黒い包帯でミイラ状態になっていた。
その横に、毒々しい振袖を着た御婦人が扇を閉じたり開いたりしている。
『きれきれの演舞が見たいのう それも、大広間で♡』
{そのくらいなら…}
オイオイ お前たち なに 勝手に
『成立や♪』
パシンと扇子を畳み、扇の天を俺の方に向ける。
俺の前に何かが飛んできた。
『和也
特性のお薬や それを飲んでぇ、休むとええ。
お日さん出る頃には、あんはん言う、えいちぴ とやらが回復しはるよわ』
妖艶に口角を上げる御婦人
(こんな奴から塩をもらうのは 悔しいが、ココ(院)の主かもしれない)
白色の薬包を両手で受け取り
≪楓お姉さまからの御心 大変うれしく思います 嵐二宮 このお薬頂戴いたします≫
大きく頭を下げる。
『よきよき ほぉな!』
声と共に気配も消える。
(なにが ほな だ)
両手の上にあった薬包を握りしめる。
あのお姉さま嫌いだろ?
猴が傍に帰ってきた。
「ああ 大嫌いだ
自分の一族以外はすべて下位だと言い張る奴らを好きになれるか
でも、背に腹はかえられない」
握っていた紙を開き 一気に口に入れる。
「何だって、利用してやるさ 『嵐』を続けるために…」
口元についた粉を払う。
そうかぁ つよいな かずなりは…
「そうさ さ 明日もあるんだ 一緒に帰ろう」
猴に手を伸ばす。
帰ろう…
俺の手をとる猴 二人で帰る。