第69章 やっぱお着換え
松本視点
コンテナの中に入ると着替え途中の翔くんがいた。
「あれ 藤渕さんは?」
S「運転席の方に行った」
「そうなの 俺の服これ?」
服の一つの盛りに近づく。
S「そうだよ」
そっけない返事が返ってくる。
「リーダーが来るまでに聞くけどさ」
盛りの服の前に今着ている服を軽くたたみながら翔くんに話しかける。
S「なんだよ」
少しトゲのある声質で返事が返ってきた。
「もぉそんな声出さないでよ 怖いよ 俺が聞きたいのは どこまで リーダーに伝えるのかってことだよ」
S「“擂末の枝”の準備の事はタイミング取って伝えるつもり」
「枝 使ったの?珍しい」
S「素人が下手に器に干渉しない方がいいからね」
「なるほどね」
(全部は言わないって事か)
音もなくリーダーが部屋に入ってきた。
(わ びっくり いつも気配無いけど 今のは分かんなかった…)
S「智くんの服はこっちだよ」
着替えが終わっていた翔くんが笑顔で迎えている。
(さすが 翔くん 智レーダー絶好調)
O「翔くんちょっと いい?」
冷静な声で話し始めるリーダー。
(え?なに この背中の寒さ)
キュッと体が引き締まる。
S「はい」
翔くんも背筋を伸ばしている。
O「和也の事だけど」
S「あの 怒ってます?」
翔くんが恐る恐る質問している。
O「怒ってないけど」
下を向き口を尖らすリーダー。
(怒ってるって!!)
「俺が説明するよ!」
シャツのボタンをかけながら二人に近づく。
O「説明 いい 見たから!」
掌を俺に向けるリーダー。
(見たっていつ!?)
S「見た?」
俺と一緒に驚く翔くん。
O「うん 頭の中に 音無しだったけど だから説明いい」
目を閉じ 頭を降るリーダー。
S「そうか じゃ まぁ えーと ソレで 器安定のために“枝”を使って準備している」
言葉を選びながら話し始める翔くん。
O「翔くんの枝?」
S「うん」
O「わかった 翔くんの行動に全面的に賛同する」
S「ありがとう 智くんに賛同もらったら いろいろやりやすい」
O「和也の事 よろしくお願いします」
頭を下げるリーダー。
S「かしこまりました」
翔くんも同じくらい頭を下げている。
(俺らの山と呼ばれる二人
二人だけの空気があって 俺は入れない)