第65章 嵐から 挨拶
松本視点
最後の衣装替えが終わって淡い月明かりの様な照明に照らされた所で『嵐』と何度も呼んでくれてる。
(わぁ…期待以上だ)
ステージのスポットライトの手前にゆっくり進み 立つ。
会場から 歓声が上がる。
(翔くんの挨拶からです…)
ペンライトの海を確認する。
(ここまで穏やかな演出になるとは思わなかったなぁ)
翔くんの言葉を掻い摘むように復唱していく。
(翔くん…
あなたがどれだけ 俺たちの事を
大切に大切にしてくれていたか っっ)
胸がクーっと熱くなる。
S『 15年以降、明日から、また、改めて、どうぞよろしくお願いします。
本日はありがとうございました 』
翔さんが深々と頭を下げると、会場から拍手がおこる。
(ふぅうう やばっ)
汗をぬぐう ついでに、目頭を整える。
(次は 大野さん…)
O『 ここにヘリコプターで飛んできた時から もう 感動してましたけど
でも その感動も通り越して、もうわけわかんないっす 』
大野さんのこボケで会場から笑いがおこる。
(そういうの良いのに…)
O『 当時の モヤモヤしていた気持ちとか、すごい思い出しました でも… 』
大野さんが言葉を詰まらせた。
大野さんの小人たちがぴょこぴょこ頭を出すと 俺の知る俺たちの眷属たちの小さい個体が踊り始めた。
(ふふ 貴方の人柄に魅かれたんだね…)
O『 15年経って、その時のモヤモヤの気持ちだったり、葛藤は 今は正直ありません! 』
大野さんが言い切った。
(大野さんがいたから 俺は強い男に成れたんだ…
まー 勝手に張り合って、勝手に負けたんだけど…)
O『 これからも、16年目 からも、ともに 共に人生歩んでいきましょう ありがとうございました 』
大野さんの挨拶が終わった。
(順調 順調)
A『 皆さん! ホントは、今日は どうもありがとうございました 』
相葉くんがいきなり話はじめた。
「あははは」
つい声を出して笑ってしまった。
(もう!! マイクスイッチ切ってるから 声は入らないけど 地声は観客に聞こえたよぉ)
抗議も兼ねて相葉くんの方を向く。
キラキラした目でステージの方に向いている相葉くん。
(気持ちが あふれたのか…)