第63章 嵐 コンサート 終盤
白オオム視点
今宵は 隠居した者は ひっそり
大きく育った雛人の雄姿を見に 見るだけのつもりで
共も連れず手頃の依代に乗って 宴に来た。
来て みて びっくり
我が部下であった日翅が空中門に立っていた。
信頼された と 素直に喜んで やってもよかったが
『まだ!緑の雛人は出てこないのか?』
日翅の肩に乗りくちばしを頭にコツコツ当ててヤッタ。
日翅「ィ! 痛いっすよ」
大げさに頭を護る日翅。
ボーンっと古時計の鐘の音が響くと 夜の闇を照らす光が舞台を照らす。
日翅「出てきます」
おお 我が目をかけていた雛人
ステージにゆっくり登場する5人の男
おや?
その姿を見て人々が歓声を上る。
これで良いのか?
日翅に『飛ばんのか?』っと聞いてみるが日翅も首を傾げていた。
バイオエリンの小刻みな音の響きで〝Monster〟の楽曲が始まっている。
まーよい 雛人 が元気で おるなら
O『 君の叫びで 僕は目覚める 』
大野の透き通る声が会場に響く。
松明に灯がともり
この地の字踊りが始まり
宴に複数の炎が上がる。
地上は 好意の輝きに満ちている
だから 余計に あの 一点のクスミがきになる
『日翅』
日翅「はい」
すぐさま返事をする。
『宴に水を挿すようなモノがいるようだな』
ああ アレはもう ダメだな
宴にはあまり そぐわない武器を持つ白銀の飛天が煌びやかな装飾を纏って 舞始めた。
『ほう…白銀の飛天を舞わすとは』
さすが 二つ名を持つ男
『イキではないか』
日翅の肩から離れる
日翅「どっ どちらへ?」
『ちょっとツイハンでいこう っと思う』
大きく羽を広げる。
『腹いっぱいなったら戻って来るぞ』
日翅には 笑って見せたか
嵐がいる この空間に アレが来るのは 良くない
くい止める 従者の働きで アレの本体は 排除させた
が
飛び散った 闇落ちした魂の欠片は空間に存在する
だから
『うまい うまい ははははは』
白銀の飛天の間を飛び交って、ワタシが喰らう。
狼『うっとうしいわぁぁ』
雄叫びを上げる 大狼。
おぉ 一掃とは やりおる