第63章 嵐 コンサート 終盤
本郷視点
インタビュー映像が メインステージ サブモニターを流れている間
地上では“WolfDog”達が慌ただしく走っている。
俺はココから動いていない。
なぜなら 今 オレの肩に白いオオムが乗っているからだ。
このオオムは元上司? 今も上司かもの御方の依代。
鳥『まだ!緑の雛人は出てこないのか?』
肩に乗った状態でくちばしを頭にコツコツ当ててくる。
「ィ! 痛いっすよ」
頭を護る。
ボーン ボーン ボーン
古時計の鐘の音が響く。
「出てきます」
メインステージに五人がゆっくり登場した。
(おや? 派手なジャンプと聞いていたが…)
観客から大歓声が上がった。
鳥『飛ばんのか?』
「急な演出変更でしょうか?」
バイオエリンの小刻みな音の響きで〝Monster〟のイントロが始まり『 12時を 少し過ぎる頃 』と 歌い始める嵐。
O『 君の叫びで 僕は目覚める 』
大野さん透き通る声が会場に響く。
(この楽曲には 現地のダンサーが松明もって登場する
ボンが楽しみにしていたなぁ…)
鳥『日翅』
ピリッと空気が凍る声。
「はい」
伸ばしている背中をもっと伸ばして返事をする。
鳥『宴に水を挿すようなモノがいるようだな…』
桟敷間のある一点を見つめて嘴が動く。
(あの方向は 御憑のマシラ様の席があるはず…)
鳥『ほう…白銀の飛天を舞わすとは…イキではないか』
音もなく肩から離れる元上司。
「どっ どちらへ?」
鳥『ちょっとツイハンでいこう っと思う』
大きく羽を広げ 目が笑った。
(啄む? え!)
鳥『腹いっぱいなったら戻って来るぞ』
クルリと体を反転して、松明に灯を使ったファイヤーダンスの方に飛んで行った。
(戻るなら お席に戻ってください…って言えない悲しい俺)
Just One
A『 君の手を 』
Two
S『 愛の手を 』
Three Four&Five
M『 抱いて眠りたい 』
(ああ…演出に影響がありませんように…合掌)
『 12時を少し過ぎる頃 』
『 月明かり草木眠る頃 』
『 君を見つけた モンスター 』
暗転して時計の音が響くなか 階段を上って行くメンバー