第63章 嵐 コンサート 終盤
橋本視点
松本さんに報告を済ませ 部下に「我が君の行動を制するよう」指示を与えた後。
今日お越しくださった 皆様方に お礼を申し上げに御簾所に向かう。
御簾所 ヤンゴトナキ御方の別空間 むやみにお声をかける事も失礼に当たる。
しかし 今は その方々の好意をいただくが得策。
ヤンゴトナキ方々には それぞれ違う 詞(ことば)をお使いなる
それに応じて、此方もそれに沿う
「これからもお楽しみください」
深々と頭を下げ、最後の御簾所をでる。
(よし コレで これ…)
メインステージに目を向ける。
暗転しているメインステージが青い光が照らす。
ボーン
一回目の古時計の鐘の音で赤い炎のイメージライトが点灯。
ボーン
二回目の鐘の音でステージセットの輪郭をはっきりさせる。
ボーン
三回目の鐘の音と共にサイドから炎が連発して上がる。
ドーーーンっと音と共にメインステージに五人がゆっくり登場した。
(演出変更ですか…)
観客から大歓声が上がる。
“WolfDog”の張った楯が虹色に輝く。
(これほど 好意に満ちているなら 人々には災いはないだろう)
バイオエリンの小刻みな音の響きで〝Monster〟のイントロが始まる。
大野さんが背を向け大型スクリーンに向かって歩きだす。
四人は中央に集まり『 12時を 少し過ぎる頃 』声を揃えて歌いだす。
O『 君の叫びで 僕は目覚める 』
大野さん透き通る声が会場に響く。
{hakuginnnohitenn yo aruzitati no syugo to kazari to nare}
白銀の飛天よ 主たちの守護と飾りとなれ
側に控える ほほ笑む飛天たちが 一斉にコンサート上空に飛んでいく。
{aruzitai ni mukerareta konomasiku nai mono wo harai kurae}
主たちに向けられた好ましくないモノを払い喰らえ
足元に控える 塊が暗闇に消えて行く。