第62章 〜インタビュー映像〜 メインステージの下
櫻井視点
慌ただしく動くスタッフと対するように 微動だにしない智くん。
(今の智くんはどんな顔しているんだろう…)
潤の「やめる?」とニノの「大丈夫!」の声が聞こえると、智くんが歩きだした。
俺も智くんについて行くと、ニノが浜地さんの特殊整体を受けているのが見えてきた。
(ああ、やっぱり俺ごときの回復力じゃ、ダメだったか…)
M「スライドアップでもいいよ」
ニノを説得している潤。
(演出変更か…)
O「スライドにしようよ!」
智くんが優しく声をかける。
(確かに、その方が…)
智くんの頭が縦に動く。
(決定だな…)
M「スライドアップ!」
潤がスタッフたちに変更の宣言する。
ニノが何か言いたそうだが
M「キューは自分たちで出す!」
立ち上がった潤は 髪型を直しながら次の指示を言う。
ニノがこの流れを受け入れイヤモニを装着していく。
ニノのスペースを伺っていたスタッフ達が一斉に散っていった。
(今からは 和也の体力に掛けるしか無い…)
スタッフ「はーい!」
スタッフたちが走っていく。
智くんの背中がジャンプアップの板に向かう。
(雅紀への伝言は智くんに任せて…)
「吉桜 紙とペン!」
自分のスペースに入る。
吉桜「はい」
メモ帳とペンを差し出す。
(俺は このコンサートが終わってからの事を準備しよう)
「これを “擂末の枝”に刺して手配しろ」
二つ折りにした紙を吉桜に手渡す。
吉桜「御意」
受け取った吉桜が走り出す。
(“すりずえのえだ”…久しぶりに使う外部委託)
走って行く吉桜の背中を見る。
(以毒制毒が いい回復方法か分からない…でも 俺は抗う)
スタッフ「櫻井さんスタンバイを!」
慌てるスタッフ。
「ああ 今行く」
メインステージの下からジャンプアップする予定の板が並んでいる。
スタッフ「あと、30秒です」
O『“これでどうだ”みたいな とこはあるかもしれない ………』
智くんと相葉くんが話している。
大きく息を整え 自分の板の上に乗る。