第62章 〜インタビュー映像〜 メインステージの下
二宮視点
大野さんのバック転がうまく行って ステージの照明が暗転していく。
(早く…着替えよう)
ステージから自分のスペースに戻るため階段を降りる。
浜地「二宮さん お疲れ様です」
浜地が駆け寄ってきた。
「うん 疲れてる」
階段を下りると体が重くなる。
(ふぅ)
小さく息を吐く。
浜地「失礼します」
横に立った浜地が俺の足を浮かせた。
「やめろよ!」
浜地「大丈夫です。 今は 誰も 何も言いません」
俺の脇に浜地が有無を言わず腕を入れてくる。
(確かに ココではそうかもしれない でも
「そうじゃ…なくて…」
今の俺が 弱ってる事を認めたくないんだ…)
浜地「動かなくて いい時は 私に従っていただきます」
オレの顔を確認してこない浜地。
「ぅん わかった」
体の力を抜いて浜地に寄り掛かる。
(ああ あの頃の浜ちゃんの匂いがする…)
ゆっくり 自分のスペースに向かっていると「大丈夫か?」っと大野さんが近づいてきた。
(ああ この人に心配させたくない…)
「うん なんとか…気を抜くとコレだよ…」
ふくらはぎを指さしながら、ごまかす。
大野さんがゆっくり頭を揺らし 俺を見ている。
(ああ スキャンされてる…
どうか 変に動かないでほしいなぁ)
駆け寄って来たスタッフに「あ うん 今行く」っと声をかけた大野さんが「浜ちゃん ニノの事よろしくね」っと浜地の肩を二度ポンポンと叩いて離れていった。
呆ける浜地。
(念でも 注入されたか?)
ハッと我に返った浜地が「着替えにいきましょう」っと歩き出した。
「ああ…」
個人スペースのパイプ椅子に座ると、浜地はクーラーボックスからストローの着いた容器を出す。
「また マズイの…」
受け取ったはいいが、自然と舌を出た。
浜地「着替える前に飲んで下さいね 衣装を変えてからマッサージしますんっで」
笑顔がコワイ浜地。
(浜地の整体をここでヤルの?)
周りを見ると、他のスタッフが簡易的なベッドを作り出した。
「お お手柔らかに たのむよ?」
浜地「もちろんですよ」
ニヤッと笑った浜地がポキポキと肩や腕を鳴らす。
(身を任せるしかないか… 痛いのは 嫌かも…)