第55章 1日目 《MC》 2
観客席から「見たーい」の声。
『え? 見たい?』
声の方に体を向ける。
今度はあちらこちらから「見たーい!」の声。
「公開する場所あるかな?」
マイクを離して考える。
M『ファンクラブの会報かな~?』
潤が問題の少ない案を出す。
『そうだね(著作権 とか 諸々の事が省けるし…)
もちろん何かしらの形で お見せすることになると思うけど、今ここで『これが…』なんて見せられないからさ』
ポケットからカメラを出して画面を見せるような動きをする。
(伝わると良いなぁ)
『そのうち、お見せできる機会があるかもしれませんので、その時に』
A「おまたせ!!」
雅紀の声がステージの袖の方で聞こえた。
(おお!きたね!潤)
「よろしい?」
小さく頷く潤。
A「何が!?」
雅紀が小走りで近づいてきた。
「相葉くん、今日も元気いっぱいだね ふふ
じゃあ、俺、着替えてきていいかな?」
A『あぁ、いいよ!どうぞっ!』
両手を大きく広げて はけ口の方に手を動かす。
『では 行ってきますよ
時間あるから 何か言うことあれば…
あ! 映画とかの話、しといてよ』
表を二人に任せて ステージから下りる。
(あ 智くんだ いつもより早いな…)
「お疲れぇ 着替えてくるね」
歩いて来る 智くんに声をかける。
O「ああ 行ってらっしゃい」
ふふっと笑っている智くんが手を振り返してくれた。
(ああ 何かあったんだね…)