第53章 1日目 《MC》 1
『今、思い出したんだけどさぁ
この話…あのぉ…JALの機内の放送のやつで話した?』
O『話してるね!ふっふっふ』
笑ってごまかす智くん。
「あはっ」
会場「聞いたー!」
『そうだねっ
聞いた人いるよね?すみませんね。まぁ、聞いてない人もいるのか。まぁ、復習ってことで』
A『温かく見守ってよ』
O『まぁ、でも。そんな感じだから、憶えてないんだよね』
A『もめ事も多かったよね』
『ギリギリだったからねぇ』
O『うん』
A『いや、ただ… っ』
仕切りにイヤモニを触る雅紀。
(ん どうした?)
A『たのしいね!』
雅紀がいきなりニカッと笑った。
でも 目が笑っていない
『ほんとに 楽しいね!』
こういう時の雅紀には荒がない方がいいから 一緒にソッチの方に話を進める。
智くんも頷く。
M「おまたせっ♪」
上着は持って、Tシャツ姿で潤が出てきた。
『早っ!?』
A「はやから 着替えたの?」
ステージ真ん中でポーズを取る潤。
S『また、おっしゃれぇぇ 立ち方おしゃれーっ』
O『15年経っても、おしゃれだなっ』
俺たちのおべっかに会場が笑ってくれた。
『ぶははっ ははっ じゃあ、ちょっと我々も戻りますか』
O『ええ、ええ!』
A『そうだね。戻ろっ』
三人が花道を進むと、その周辺の席で動き出す。
「なんか…いつもと動きが違くない?」
A「今回の椅子は折り畳みイスだからじゃない?」
チラッと下を見て雅紀が呟く。
「ああ、なるほどね」
M『すごいね なんか ウェーブみたいになってる』
潤が客席を指さしている。
少し先を歩いていた智くんが潤の方に近づく。
A「あれ…」
ステージ袖の方を見ている雅紀。
O「わかった」
智くんがそれだけ言って着かえに行く。
M「うん」
潤が返事する。
目が世話しなく動いている雅紀。
「先いけよ」
そっと背中を押す。
A「いいの?」
振り向きざまに呟く雅紀。
「大丈夫だよ」
A「いってくるね」
潤の方をチラッと見て着替えに走って行く。
(さて 俺はオモテを見つめていよう…)