第53章 1日目　《ＭＣ》　1

『逆に覚えてるのは、ハワイに来る前の事だよね？』

Ａ『あー確かに…
　　しかも　オレ、ハワイに行く日が15日って、社長から3日前に突然言われていますからね』

「そうか　そうか」

Ａ『だから俺は、何も準備していなくて、訳が分からないままハワイに来てるわけですよ』
　肩をくくっと動かす雅紀。

『３日前というのは、憶えている？』

Ａ『うん』

『直接　社長から聞いたの？』

Ａ『ううん、電話かかってきたの、携帯に！』
　親指と小指を広げて電話のジェスチャーをする雅紀。

『ポケベルじゃなくて？』
胸の前で小さな四角を作る。

Ａ『携帯だわ！
　ポケベルは中学生の頃だわ！　当時高校生だったから！　もおぉ』

「ごめん　ごめん　進めて！」

A「えーっと『携帯に電話きて…　　やって？社長！」
　俺の衣装を引っ張る雅紀。

「え？　おれぇ？社長やるの？」
（社長前にして社長のモノマネなんか　後が怖くてできないよ）

Ａ『もしもし　Youパスポート持ってる？』って聞いて』

『1人でやって！』

Ａ『ユー、パスポート持っている？』 『持っているよ』 『じゃあ、ハワイ行こう？』 『いいよ、いつ？』 『3日後』って言われたわけ。
　　それで、3日後に来たら『ユー、嵐だから…』ってなったんだよね」
　結局　一人二役をする雅紀。


「じゃあ、その時にもしパスポートが更新されていなかったら？」

Ｏ「嵐じゃなかった！？」

Ａ「そうだよ。だからパスポート様様だよね」
　拝む雅紀。

「パスポートに敬意を表する人って。そういないけどね」

会場から笑いがあがる。

「大野さんは？大野さんも、ちょっと前だったんだよねぇ？」

Ｏ『僕も…　相葉ちゃんの次…１週間前だった』

『１週間前って（まったく　前分が無さすぎ）だから、もう　9月の頭ぐらいだったのかな？』

Ｏ『そうそう！
　　ほんでぇ…なんかねぇ　嵐の “A・RA・SHI” をぉ
　『ちょっとレコーディングやってくれ』みたいな…言われてぇ
　『あぁ、別にいいけど…』みたいに…
　　でぇ　　歌ってぇ
　　１週間後、ハワイだから…って言われた』

記憶を引っ張り出して　順序を確認しながら話す智くん。

（なんか　この感じ前もあったような…）