第51章 衣装チェンジ
相葉視点
〝PIKA★★NCHI DOUBLE〟のアウトロを聞きながら綺麗なオレンジ色の空を見る。
(はぁぁ はぁぁ… 綺麗な夕日…もっとゆっくり見たいなぁ…)
足元がどんどん下がり、見える風景は空から、鉄パイプに変わる。
(一気に現実にもどるよねぇ)
誘導スタッフの声掛けより先に 自分の場所に歩き出す。
「あっちぃ 汗…止まんない…」(早く着替えたい)
用意されている椅子にポンポンと衣装をかけていく。
スタッフ「お茶です」
スタッフが紙コップを小さい台に置く。
「ん?日翅ちゃんは?」
スタッフ「ココには居ません。何か必要ですか?」
「ううん 大丈夫」
(何かあったのかな…何にも言わずに 俺から離れて…)
スタッフ「相葉さん?」
「あ、ごめん 座るね」
急いで着替えてパイプ椅子に座る。
ドライヤーで髪を乾かしてくれるスタッフ。
紙コップのお茶を飲む。
(浜ちゃんのお茶…だな)
スーッと体に広がっていく。
スタッフ「あと三分です」
(日翅のヤツ なんで…来ないんだよ)
スタッフ「いかがですか?」
「うん イケル」
スタッフ「上着です」
立ち上がりスタッフが広げたジャケットに両腕を入れる。
「マイクちょうだい」
スタッフ「はい」
マイクを持って外に出る。
相変わらず 綺麗な空。
すうぅぅぅっと大きく空気を吸い込み「やるぞ」と小さく声を出し両肩を回す。
O「頑張りすぎないでね」
大ちゃんがゆっくり近づいてきた。
「えー ノッテ来たのに?」
左側から登場するのは大ちゃんと俺。
O「相葉ちゃんは『程よく』が丁度なんだよぉ?」
少し困った顔の大ちゃん。
「程よく?」
O「そう『程よく』じゃないとニノや翔くんが困るから…」
大ちゃんが額をかきながら下を向く。
(困る?なんで?)
スタッフ「そろそろです」
どうゆう意味か聞きたかったけど、人が来たからやめた。
セットの袖で前撮りした、自分の音源を聞きながらお客様の反応を確認する。
(ふふ 受けはいいみたいだな…)
A『“生きてる!”って感じがする』
(生きてるんだよ 俺…)
自分が言った言葉なのに胸が熱くなる。
翔ちゃんのコメントが聞こえてきた。
(出番だ!)
ゆっくり階段を登る。