第51章 衣装チェンジ
大野視点
〝PIKA★★NCHI DOUBLE〟のアウトロで中央の台がゆっくり下がっていく。
(はぁぁ…はぁ )
『手を振って』の団扇を見つけた。
笑顔で手を振る。
持っていた人が嬉しそうに団扇を振り返した。
(うれしいな 手を振っただけなのに あんなに喜んでもらえて…)
観客が見えなくなった瞬間、体の力が抜けていく
(はぁぁ…はぁ ふぅぅぅ 熱い…水飲みたい…)
足元が動かなくなる前に相葉ちゃんが降りる。
スタッフがメインステージのすぐ下にある、俺たち個人のスペースに誘導する。
椅子に座ると 更に体が重くなる。
(やばいな これ脱がなきゃ…)
汗で重くなった衣装を抜く。
橋本「はい」
橋もっちゃんが蓋の開いたペットボトルを差し出す。
(ありがとう)
受けとり ゆっくり飲む。
喉を通る水を感じると体が軽くなった気がした。
橋本「髪 乾かします」
橋もっちゃんがドライヤーを持って背後に立つ。
熱風が汗でびしょびしょの髪を乾かしていく。
あまり 頭を触られたくない
特に こう 敵と味方が分かりにくい所では…
スタッフ「あと三分です」
右横のニノが立ち上がる。
(もう行くのか…)
相葉ちゃんもマイクを貰っている。
(俺も行くか…)
「いく」
橋もっちゃんからマイクを受け取り外に出る。
気合いいっぱい両肩を回す相葉ちゃんが見えた。
(ああ うん いつもの相葉ちゃんだけど)
「あんまり 頑張りすぎないでね」
ゆっくり近づく。
A「えー ノッテ来たのに?」
すでに空回りぽい笑顔の相葉ちゃん。
「相葉ちゃんは『程よく』が丁度なんだよぉ?」
A「程よく?」
首を傾げる相葉ちゃん。
「そう『程よく』 じゃないとニノや翔くんが困るから」
(どう説明したらいいんだろう…)
額をかきながら下を向く。
スタッフ「そろそろ…」
スタンバイを促された。
「あ うん」
小さく頷いて 搭乗口の方を確認する。
相葉ちゃんが真剣な顔して階段に向かって歩き出した。
(うん…このままにいこう…)