第51章 衣装チェンジ
二宮視点
台が下に降りると誘導スタッフが待っていた。
体中から汗が溢れて、足元がふらついている。
翔さんや相葉さんの背中を見ながら個別のスペースに向かう。
次の衣装は白地に青のボーダーのジャケット、黄色いシャツと白パンツ
一度全部脱ぐ。
扇風機の風が あらわになった素肌をくすぐって行く。
お菊「浜地マネからオミズをお預かっております…」
飲み口のあるボトルを差し出す笑顔のお菊。
(お菊…紛れ込んでるし…)
半透明のボトルを受け取り中のオミズとやらを口にする。
(お これは激マズポーションじゃん)
口の中に広がる味にビックリして、吹き出しそうになった。
浜地特製の回復薬湯 通称 激マズポーション
HPもMPも回復するがテンションはダダ下がりの薬湯
(まじぃぃぃぃ)
ゴックンと飲み込み飲み口から口を離して 大きく空気を吸い込む。
(オミズと聞いて警戒するべきだった…)
良い事してます 的なキラキラした目で俺を見ているお菊。
(あーだから お菊なのか…)
「うん おいしい ありがとう」
アイドルスマイルでお礼を言う。
お菊「よかったです!」
背中に花を背負ったような笑顔のお菊。
体の汗は扇風機の風が乾かし、頭から流れる汗はスタイリストがドライヤーで乾かしてくれている。
(なのに 体が熱い この体の熱は…侵入者を感知しているのか?)
スタッフ「あと三分です」
スタッフ「OKです」
ドライヤーの風がやむ。
「ありがとう 上着!」
椅子から立ち上がる。
お菊「もう行くのですか?」
「外の方か、体には良いと思う」
スタッフが広げたジャケットに両腕を入れる。
マイクをもってセット裏の外に出た。
「あっちぃ」
(天気よすぎるのも 問題だな…)
舞台袖に向かって遠回りをしていく。
ズキンズキンと彼方此方から鈍い痛みを感じる。
(桟敷間… いや 羽の御簾所付近だな…)
裏の櫓下をものすごいスピードで犬養君が走って行く。
(≪速走り≫ハヤばしりだな)
目の前で翔さんがスタッフと雑談している。
(翔さんがコレなら心配ないな)
M「いくよ」
前に立つ潤くんが階段を上がり始めた。
「おう」
ゆっくり階段を登る。