第44章 通しリハ
松本視点
ピカンチダブルを歌うメンバーをステージ下から見上げる。
(さっきから… やたらとニノと目が合う…)
空のグレーの雲
(天気か…それとも あの静観のモノたちか…)
Sマイク『 あかさたな 習った頃から 』
メンバーたちが乗っている中央ゆっくり下がって行く。
≪ 風よ 雲を流せ ≫
ニノの霊力の“声”
雲がゆっくり動き出す。
メンバーがステージ下に降りていく。
(ニノょぉ
『よろしく』とは言ったけど…そういう意味じゃねーんだよ)
結界石が霊力を感知して仄かに光る。
(はぁぁ 中から外に力を出すと
せっかくの結界が揺らぐじゃねーかよ…
今回は俺たちのホームじゃない 外国での演舞…
この地の神々や精霊で どんな影響を受けるか分からないから
結界石を立ててるのに…
急いで影響を確認して…)
頭の中で色々考えている。
モモ{ボス 霊力の乱れは微小だ 問題ない}
フッと耳の後ろから モモの声が聞こえた。
コメカミ辺りが痛くなっていたのが、嘘のように気分が晴れる。
(さすが モモ 犬養経由で伝達)
モモ{承知}
スタッフ「松本さん ここまでの気になる所は?」
「あー う~ん まぁ 大丈夫かな…」
(ごめん 今 ニノの方に気が向いていた…)
スタッフ「では 映像の時間はそのままで?」
「みんなの準備ができたら 行ってもいいよ」
スタッフ「了解しました」
バインダーに書き込みながら離れていく。
空の雲が ゆっくり 動いて さっきまでの暗い曇りから 薄日がさすし始める。
(天気が動き出した…)