第37章 後ろに仕える者のみぞ知る
本郷視点
珍しくボンの方から頼み事
嬉しくて、鼻歌歌いながら
テーブルにビニール袋にハサミ、ガムテープと並んでいく。
(イイネー 凡人作業♪)
窓からボンの頭が見えた。
「きたきた♪」
ボックスの外に出る。
超がつくほどのアホな顔で歩いて来るボン。
その後ろに顔色がよろしくない二宮さんが見える。
「こちらに 用意しています」
扉を押えて二人を迎える。
A「ん こっちね」
スタスタとコンテナに入るボン。
「テーブルの上です」
ペコッと頭を下げる。
(あれ?二宮さん…)
続いて来る人が来ないから顔をあげると、浜地さんが小さい湯呑を二宮さんに渡していた。
(浜地さんの特製薬湯かな?あんま、ジロジロはよくないよね)
コンテナの扉の方に顔を向ける。
二宮さんが舌を出してコンテナに入ってきた。
(薬湯のんだんだなぁ~)
「ヒワ」
背後から呼ばれる。
「はい」
声の方を向くと、橋本さんが立っていた。
橋本「あれはなんだ」
テーブルの上の使ってイチャイチャしている二人を指差す。
「あーこれですぅ ウチのボンがカッパ作るそうなんですよ」
橋本「…」
無言で近づいて来る橋本さん。
(無言って…なんです?真顔じゃないですか…恐いんですけど…)
「何かありましたか?」
橋本「『ヌマウズ』が舞い始まている」
真っ直ぐ俺の目をみて言う橋本さん。
「えっ!発生源は…」
※『ヌマウズ』漢字でなら『沼渦』
世界のマナ(力)のバランスが崩れるとき、表れる空間の《渦》
この渦に飲み込まれると、厄介なことになる。
橋本「おそらく、先だっての『宴』が引き金だろう」
「そ…そんな…聖地ハワイなのに…」
橋本「それだけ、嵐が大きな影響を与えていると言うことだ」
「確かに『花』に『羽』も、ですものね。分かりました」
橋本「ある程度は私の方で処理するが、お前も気を付けて欲しい。
せっかくのアニバーサルコンサートなんだ。
彼らの負担は、避けたい…」
「ごもっともです。見つけしだい、排除していきます」