第36章 誰の為に作ってるの?
二宮視点
浜地「吉桜くん、私がしますので お二人のお着替え見張ててください」
いつもと違うビリッとした声の浜地。
吉桜「は!はい!!」
ビックと大きく肩を揺らす吉桜くん。
(あー…とばっちり…ごめんねー)
“怒ってます”オーラの浜地を刺激しないように、テーブルの上に置かれている袋に手を伸ばす。
(ん?視線を感じる…)
ゆっくり顔を上げると、ものすごく不安そうな吉桜くんと目があう。
(なに?)「こっちが着替え?」
今から掴もうとした袋を指で突く。
吉桜「あ!はい
先にまだ温かい蒸しタオルをお使いください」
ワタワタともうひとつの袋を取ろうと手を出す吉桜くん。
A「こっち?」
相葉さんの長い手が先に袋に届く。
A「わぁ 温かい!! はい ニノ」
躊躇なくパッパッと袋から出したタオルをオレの方に差し出す。
出遅れた手のやり場に困っている吉桜くん。
(ふふ、一歩遅かったねーでも、まぁ この人が早いだけだけど…)
まーくんが ん っとタオルをつき出す。
「どうも…」
タオルを受けとる。
(温かい…)
折り畳んだまま頬に当てる。
「はぁ…」
間の抜けた声が出る。
(恥ずかしい…)
急いでタオルで口を隠す。
A「体拭いてあげようか?」
ニコニコ笑顔で近づいて来るまーくん。
「いいよぉ」
体をひねって、タオルを広げる。
A「遠慮しないでさ!」
自分の顔を拭いたタオルを首にかけ、俺のタオルに手を伸ばしてくる。
「遠慮じゃなく、お断り!」
せっかく広げたタオルをくしゃっと丸める。
A「善意を!」
声のトーンがあがるまーくん。
「押し売りお断り!!」
顔をゴシゴシ拭きながら、背を向ける。
(やだよ みんなの前で体を拭かれるなんて……)
吉桜「ああ お二人とも 遊んでないで着かえてくださいよ」
吉桜くんの大きな声。
テーブルの方を見ると頬を頬を膨らましてTシャツを出している吉桜くんが「浜地さんに怒られます 僕が!!」とプリプリ怒っている。
(フッ 怒りかた翔ちゃんみたい…)
A「あぁ めんごめんご」
頭の上にタオルをのせて、自分の額をペシペシしているまーくん。
(……バカだ、行動がガキだ…)
はーっと小さく息を吐いて目の前に広げてくれたシャツに手を伸ばす。