第36章 誰の為に作ってるの？

相葉視点

（うん！いい出来！）
手前味噌だけど、上出来なビニールカッパを広げる。

Ｎ「えっ！できあがり？」
　大袈裟な反応のニノ。

「そうだよ　ほら　着てみて！」
ビニカッパをニノの方に向ける。


Ｎ「今ぁ？」
　眉を寄せ受け取らないニノ。

「うん！」
（大丈夫！イイ感じだから！）


Ｎ「Ｔシャツ着替えてからがイイ」
　ニノが俺を睨む。

（ちょっと袖ぇだけ通してぇ）


浜地「そうしてください」
　浜ちゃんの声が聞こえた。


声の方を向くと浜ちゃんが仁王立ちしている。


（わぁぁぁ！！）



浜地「私がしますので……」
　いつもと違うピリッとした声の浜ちゃん。


（浜ちゃんが！怒ってる！！　カズ…どうしよう…）

そうっとニノの方を見ると、ニノがピリ浜ちゃんを警戒して、静かに着替えに手を伸ばしている。

（そうだね…　それがいい…）
ニノとは違う袋に意識を向ける。



吉桜「あ！はい
　　先にまだ温かい蒸しタオルをお使いください」
　吉桜くんが俺がみている方に手を伸ばして来た。



「ん？（蒸しタオル？）こっち？」
先に袋に届く。


「わぁ　温かい！！　はい　ニノ」
袋から出したタオルをニノに差し出す。

　ニノの眉が下がる。

（？　ほら　タオル冷めるよ？）


Ｎ「どうも…」
　ニノがやっとタオルを受けとり折り畳んだまま頬に当てる。


（気持ちよさそうだね🎵）
「体拭いてあげようか？」
首に温かいタオルをかけて声をかける。

Ｎ「いいよぉ」
　体をひねって、タオルを広げるニノ。

「遠慮しないでさ！」（背中とか拭いてあげるよ）
ニノのタオルに手を伸ばす。

Ｎ「遠慮じゃなく、お断り！」
　広げたタオルをくしゃっと丸めるニノ。


「俺の善意を！」


Ｎ「押し売りお断り！！」
　顔をゴシゴシ拭きながら、背を向けるニノ。


（むうっ）



吉桜「ああ　お二人とも　遊んでないで着かえてくださいよ」
　吉桜くんの大きな声。


テーブルの方を見ると　キランと目を光らす浜ちゃん。

（目ぇ　光ってるよ　こぉわぁ！）

ちらっとニノを見ると吉桜くんの方を見ている。


（まだカズが気づいていないから…茶化して逃げよう！）


「あぁ　めんごめんご」
頭の上にタオルをのせて、自分の額をペシペシする。