第32章 専属マネの奮闘
浜地視点
本格的に雨になった。
スタッフ「すみません!メンバーの皆さん 一度 捌けてください」
スタッフの声が雨の中響く。
(温かい飲み物を用意しましょう)
ステージ下からそのままキッチンに足を進めていると、
和也くんが誰よりも早く、ステージから降りてきた。
「いかがしました?」
急いで側に行くと、腰のあたりを擦りながら「冷えたのかな…痛みがある」と笑った。
「すぐに薬湯を用意します」
頭を下げ離れる。
(私に笑顔で言う時は、自覚が薄い時…)
嵐コンテナの隣のコンテナに入る。
誰にも見られないように、自分の周りに結界を張る。
≪無限収納≫
目の前に現れる鞄。
≪開≫
鞄の鍵が自動的に開き その中から280度に広がる棚が現れる。
棚には日本を出る前に収納してきた【素材】が入っている。
「このサイズでいいでしょう」
小さい湯呑を取り出す。
≪お湯 温度40度固定≫
指を鳴らして、空間にお湯を出現させ湯呑を中に入れる。
「雨で体温を取られ、汗をかくことで体の電解質のバランスが崩れている と思われるから念には念を入れないと」
【芍薬の花弁】【甘草の茎】【湧水】【霊岩の粉】【葛の根】
素材を次々取り出す。
≪調薬空間作成≫
魔法陣の上に透明な水瓶が現れる。
≪薬種投入≫
瓶の中に素材を入れる。
≪調合開始≫
水瓶の中が輝き始め、素材が溶け合っていく。
《無限収納》に残った素材を収納する。
水瓶が輝く
「出来上がりました」
瓶の中の液体を少しだけ掬い上げ、味を確認する。
「うん 良い出来です」
≪調合完了 薬効固定≫
湯呑をお湯から取り出し、真上に持って行く。
≪この器を満たせ≫
水瓶の中の液体が湯呑に注がれていく。
「残りは皆さんの分にしましょう」
≪残量 濃縮 封入≫
水瓶が縮み蓋のできる一升瓶になると同時に。
《無限収納》に一升瓶を収納し≪閉≫と声に出す。
棚と鞄が消える。
「もうそろそろ お部屋に戻られたでしょう」
自分の周りの結界も解除して、嵐コンテナに向かう。