第28章 できるだけリハしよう
松本視点
犬養「お疲れ様です」
犬養がコンテナに入って来た。
A「お疲れでーす」
相葉くんが返事をする。
(ん きた…まずは通常会話を…)
「機材トラブルは?」
犬養「雨対策をして、今は大丈夫です」
「OK じゃ…」
視線を外に向ける。
雨の音が聞こえる。
「雨が降ってるなぁ…
歌を歌うより移動時間の確認して」
思い付く事を言葉にする。
犬養が慌ててメモを取る。
「マイクの受け渡し、とぉ 音楽の流れて、反響…照明の感じを見ながら…衣装チェンジのタイミングとロスタイム…あとは…」
(出たとこ勝負かぁ)
犬養「よろしいですか?」
犬養の手が止まる。
「あぁ あとは、やりながらだな」
犬養が、頭を下げ一歩下がる。
メンバーが居る方を向くと、翔くん以外着替えが終わっている。
(翔くんは着替えないつもりだね…じゃ切り上げてもいいね)
「みんな いい?」
俺が声をかけるとメンバーがしっかり向いてくれている。
「雨がまだそんなに降っていないから、音響の機械を動かしながら流れを見て行く。
日本で、何回も話し合って、調整して、確認してのセットリストだから、大まかな流れはそのままでいいと思うからっ…」
いつもの顔
いつもの空気
今の俺が立つ場所。
「衣装チェンジのロスタイムを…」
(足元をさらわれないように…身を律し)
言葉が詰まりそうになる。
(俺がしっかりしないと…)
O「『いつもみたいに』で 良いと思うよ」
ふふっとリーダーが呟く。
N「そうそぉ」
ニノがニヤッと笑う。
(なんだよ…その『わかってます』な顔しやがって…)
「じゃ 気になったら、止めて微調整させていただきますぅ」
オーバーな位 顔をくしゃっとさせて二人の方を向く。
A「らじゃー!!」
額に手の甲を当てて笑う相葉くん。
S「やりますか!」
アイスカフェオレを飲み干す翔くん。
「やろう!!」
俺の一言で、みんなが動き出す。
(出来ることだけども、確認、把握したい)
フワッとモモを感じる。
(お前も頼りにしている…
今の俺は、非力を嘆くガキじゃねぇ)