第23章 我々は 専属なので
橋本視点
地表に誰もいないコンテナの近くに舞い降りる。
(これで、しばらくは大丈夫だろう…)
浜地「お疲れ様です」
穏やかに声で近づいてくる浜地。
(浜地か…
「お疲れ様です」寛大なヤツで良かった)
浜地「そろそろ休憩時間だと思いまして、補充品を持ってきました」
通常のトーンで話を進める浜地。
「もう そんな時間ですか…」
通常の作法をする。
浜地「橋本さん その…お姿を皆さんに見せると、心配されますよ」
浜地が、言葉を選んで乱れた服を指摘する。
「あぁ 指摘ありがとう」
《衣替えの霊よ、我が衣を整えよ》
軽く着ている服をなぞる。
浜地「いえ。
あぁ 簡易キッチンでお湯を沸かしています。
ポットに移して、嵐コンテナに持ってきていただけますか?」
ニコニコ笑顔で、用事を依頼してくる浜地。
(ちゃっかりしてるなぁ)
「了解した」
浜地「よろしくお願いします」
浜地さんがコンテナに入って行く。
(お湯…わが君に用意して置かねば…)
「橋本さん」
キーの高い声が聞こえる。
(この声は「本郷か」うるさいヤツだ…)
本郷「何をしていたんですか?」
ヘラヘラ近づいて来る本郷
「干渉(かんしょう)者の方々と少し御話をしてきただけだ」
(おまえなら この位で分かるだろ…)
本郷「こわっ」
頬を両手で触りながら騒ぐ本郷。
「怖くて結構… 俺の仕事にケチつけるな」
服装が整う。
(よし)
「それより休憩申請か?」
話を変えようと、通常のトーンで切り返す。
本郷「そぉうです
松本さんドンドン進めるから、そろそろと思って…」
不真面目なのか、演技なのか分からないヘラヘラした顔で返事をする本郷。
「そうか 運営の方は俺が行こう」
テントの方に体を向ける。
本郷「じゃ 手分けでよろしくです」
本郷が手を伸ばしてきた。
(ん なんだ その手は…さっさと動け)
顎を動かす。
本郷「ケチ いいじゃん 仲間なんだから…」
手を引っ込めグーパーしている本郷。
(仲間ねぇ…)
本郷「あんもぉ 無言は嫌ですよ ホント 怖い人だ」
お道化る本郷。
「さっさといけ」
本郷を睨む。
本郷「へいへい」
ステージの方に大股で歩いて行く本郷。
(まったく…)