第97章 魂の宴 挨拶ステージ
松本視点
リーダーが笑顔で手を降って見送ってくれた。
「へへ、見送ってもらっちゃった」
足取り軽く進む俺。
ニノの背中が見える。
見えるのに、なかなか距離が詰まらない。
『神域』のココでは”目で見える距離”と“感覚”が違う。
「モモ ちょっと脚借りるよ」
ぞわっと毛が逆立つ感覚の後、足が軽くなる。
一足動かすだけで、グッとニノの背中が近くなった。
(おお、やっぱりモモの脚は、スピードが違う💕)
{ボスがその気なら人界でも貸すぞ?}
モモの頬が俺の頬にすり寄る。
「人界で?マジで借りたら、オリンピックだって出れるアスリートになるな!」
{では、力の変換機能を構築…}
「でねーよ? マジにすんなよ?」
{でないのか?賞賛を浴びれるぞ?}
「確かに人からは賞賛を貰えても、お前使って、そんな事、マジでやったら、翔くん激雷が落ちるぜ」
{翔さまを怒らしたくはない…}
「だろ?」
スキップを踏むように、進むとニノの背中に手が届きそうになった。
{ボス、モモは控えます}
モモの脚や気配は腰のアクセサリーに吸い込まれて行った。
ニノが振り向いた。
「おまたせぇ」
自分の足でニノに駆け寄る。
ニノが沢山の霊体に囲まれながら、俺を確認している。
(かなり…おまたせ「した?」それとも、モモの気配が気になるの?)
何も言わず、ただ口を接ぐんで見つめるニノ。
「なに?」
少し距離を取りながら、ニノに質問する。
N「私は、無闇矢鱈に蹴りませんよ?」
唐突なニノの返事が帰ってきた。
「え?あ 蹴る?」
(なんの事だ?
ニノにはさっきの映像は見せてないから…)
ハーッと息を吐いたニノが「潤くんに、この効果音を流してほしいんだけど?」持っていたバインダーの指事書指差す。
「え?効果音?」
(話が飛んだぞ?そのバインダーに書いてるのかな?)
バインダーを覗くように頭を下げる。
ペシっと耳に音と一緒に痛みが走る。
「イテ、何すんだよ」
耳を押さえながらニノを見る。
N「ん? 翔ちゃんのお説教の代わり?」
首をかしげるニノ。
行動は可愛らしいが、目が笑っていない。
「お、お説教!?」
(ってことは、ニノは3Dの事してる?どうして?、やっぱりお前、ただ者じゃねー)