第97章 魂の宴 挨拶ステージ
二宮視点
「こんなもんかな?」
腕くみして、出来立てのステージを見る。
ココに来訪する精霊の好みは、さっきの祝福や演舞でだいたい分かったつもり。
(それにしても、潤くん…遅いなぁ
翔さんの事だから、伝え忘れは無いはず…)
『神域』と言って良いココでは”目で見える距離感”より、感覚は近いようで遠く。
流れている”時間”も速いようで、ゆっくり流れている。
{立葵の君が参られます}
俺の回りに飛んでいる小さき霊が声をかけてきた。
声がした方に顔を向けると、潤くんが走ってくるにが見える。
≪そんなに、急いで来なくてもいいのね…≫
小さき霊に対して、天の邪鬼的な言葉を言う。
{桜の君に怒られたく無いようだ}
小さき霊がクスクス笑いながら、耳打ちしてきた。
(怒られたくない?)
走って来た潤くんを確認する。
M「おまたせぇ」
潤くんはにこにこ笑っている。
(笑顔だね‥‥)
意識して潤くんの目をみる。
{立葵の君 動揺ぉ}
{お力 秀(ひい)でるぅ}
{羽と花のぉ乱舞ぅ 観物じゃノォ}
潤くんの事かもしれない事を口にする中位の精霊たち
M「した?」
潤くん目の少しだけ瞳が揺れる。
(いつもの潤くんから考えると、かなり…)
≪理解者≫
{ハイ}
理解者に俺の周りに集まる。
≪潤くんの行動情報を≫
理解者に指示を出すと、すぐさま情報が脳裏に広がる。
(ふーん…
起動してぇ… 怒られたくぅなくてぇ…)
M「なに?」
少し俺と距離を取る潤くん。
「私は、無闇矢鱈に蹴りませんよ?それとも、蹴る俺が見たいの?」
M「え?あ 蹴る?」
目を見開いて慌てる潤くん。
(顔に出るほど、動揺って‥ちょっと問い詰めたいけど、まぁ、今は大目にみてあげます)
「潤くんに、この効果音を流してほしいんだけど?」
持っていたバインダーの指事書指差す。
M「効果音?」
潤くんがバインダーを覗くように頭を下げる。
ペシっと耳を叩く。
M「イテ、何すんだよ」
耳を押さえた潤くんの目に力が入る。
「ん?
翔ちゃんのお説教の代わり?」
首を可愛らしくかしげてみた。
M「お、お説教…」
頬がピクピクしている潤くん。