第91章 準備活動
櫻井視点
和也の歩くスピードが速くなった。
(おい…速いって)
個々で動くと、霊力が分散されるから、急いで歩幅を合わせた。
{さくらい樣}
乙女の方から声を届いた。
{はい}
{わたくしに 何か 御用ですか?}
{ウタゲに お集まりノ精霊サマに 人の子『嵐』トシテ、ヒトコト挨拶をシタイと考えてイマス。ヨロシイでしょうか?}
感情が定まっていないのか、少し片言になってしまったが、一応のお伺いを立てる。
{良イ事ですね ご自由に場をお作りください}
乙女の承諾を得た。
{では、場所 御借リします}
周りを見ると、食事のテーブルと精霊様たちの座する所の中間あたりを歩いていた。
(ここら辺が、いいかな?)
「舞台はここら辺にしようか?」
和也に声をかけて立ち止まった。
N「へ?」
和也の間抜けな声が聞こえた。
(あら 心ココにあらずだった?)
N「あ はい…」
足を止め、周りを見ます和也。
N「そうですね ここなら、すべての席に向けますね…」
俺の言った言葉を理解したのか、大きく頷く。
(ほんと、お前と話すと話が早いよ 後は必要事項ね)
「場所の使用許可は取った。あとの演出は頼むね?」
和也に補足を伝える。
N「はい って いつ許可取ったんですか?」
びっくりした顔の和也。
「今? さっき? 霊語でサクサクっとね」
コメカミを軽くトントンっとして笑う。
N「お仕事が早いことで…」
クスッと笑う和也の右手にバインダーが現れる。
N「サクサクっと許可を取っていただいたので、迅速にステージ作ります。リーダーへの報告と潤くん呼んできてくださいよ?」
現れたバインダーに左手に持つペンで何か書き込みだした和也。
「いいよ よろしく!」
(ふふ 仕事モードになった和也は最強だよ)
体を反転させ、テーブルの方に帰ることにした。
数歩進んで 自分の後ろに和也ではない気配を感じた。
(この 気配は…)
≪桃木さんですか?≫
あえて、この声を使った。
『ふふ さすがに 気づいた?』