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虹と花とキミ達と 1 《気象系》

第91章 準備活動


二宮視点

A「大ちゃぁん」
 背中の方でマー君のハイトーンボイスが聞こえる。

 チラッと視線を向ける翔さん。


(ああ…羨ましって思ってますね)


A「もぉぉう かわぁうぃいい」
 離れていくのにマー君の声はすぐそばに聞こえる。


 翔さんの手に力が入るのに、感情を内に隠す。

(どうして、そんなに隠しますか)
「ここでは、誰も いませんよ…」
つい口にしてしまった。


S「へ?」
 しっかり俺の言葉を拾った翔さんが歩きながら俺の方を向く。

(もう なんで、拾わなくていい時拾うのよ!まったく…
「だから ここに貴方とおじさんを咎める“人”はいません」
 って 事です)

S「咎めるって…」
 歩きながら口を突き出す翔さん。



(まったく誰に、義理立てしているんですか?)
「せっかくのアニバーサリーですよ?
 今までのご褒美です。

 器に響かない程度の“事”なら いいんじゃないですか?
 むしろ良いんですよ ココではね!」
ニヤッと笑って翔さんの心を突いてみた。


 翔さんの頬が赤くなる。

(ふふん!私の意図が通じたみたいですね)
翔さんの表情を真横で見ている。

(でも あくまでも、響かない程度ですよ?)
ニヤニヤしている自覚がある。

(ここじゃ、どんな顔してても平気だもんね。隠し撮りとか、気にしないでいいし)


 翔さんの目は、少し揺らいでいた。



「私や潤くんの事を心配しているなら、もう 大丈夫ですよ?
 我々もいつまでも子供じゃありませんし、何より これが我々なのですから…」
言葉にしていて、自分がなにが言いたいのかわからなくなった。

だから、少し進むスペードを上げる。


(世間の常識と、この世界の常識…とか、いろんな価値観に戸惑っていた沢山の弟たちを導いていくれている

 翔さん達… たくさんの我慢をさせてきました

 世間も少しづつ 個性を尊重してくれ 生きやすい世界になったはず…)

 翔さんは俺の歩幅に合わせてくれているのか、間隔が変わらない。

S「舞台はここら辺にしようか?」
 翔さんが俺に声をかけて立ち止まった。
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