第87章 浮くと沈むは紙一重
大野視点
A「大ちゃんのアイドルスマイルの方がいいよ!」
相葉ちゃんの声が、遠くで聞こえる。
(あぁ いば ちゃぁん…)
焦点が定まらない。
A「オオちゃん どうしたの?」
相葉ちゃんが、回りを気にしながら覗き込んできた。
「めを…あわせてくれないぃ じ雷ぃふんじゃった みぃたぃ」
相葉ちゃんに言葉で返す。
A「翔ちゃんの事?」
相葉ちゃんも言葉にして聞いてきた。
(うん…そう…)
コクッと頭を下げる。
相葉ちゃんは、なにも言わず、側にいてくれた。
(翔ちゃんに 嫌われたら…の居場所が無くなる…
おいらは、所詮…)
A「翔ちゃんは、心配しなくても、大丈夫だと思うよ?」
相葉ちゃんの優しい声がおいらを包む。
「そぉ…?」
(翔ちゃんはおいらの事、嫌いになってない?)
A「うん」
相葉ちゃんが笑う。
A「ほら カズがね 翔ちゃんにくっ付いているから、たぶん大丈夫…」
相葉ちゃんが翔くんとニノが何か話しているのを小さく指さした。
ニノが、翔くんの背中に顔を寄せ
翔くんが、うんうん 頭を縦に振っていた。
パンっ! パンっ!
掌を合わせた音が 二回響く。
その音の方を向くと「さー 続いてやりましょう!」と松潤に肩を抱かれた。
(続き?)
松潤の顔を見るとキラキラした笑顔で「あ・い・こ!」と手をグーにして軽く降る。
(ふふ…挨拶のジャンケン…そうだね…)
A「じゃ!」
相葉ちゃんが手をグーにして松潤のグーを近づける。
(最初は!)
俺も手をグーにして近づける。
相葉ちゃんが大きな声で「あいこでぇぇ!」グーにした右手を上げた。
A「しょ!」
「しょ!」
M「しょ!」
一斉に手の形を変える。
出た手の形は チョキ2つとパー1つ
A「やりぃ!」
ピースサインを高く腕を上げる相葉ちゃん。
M「オッシャ!勝った!」
チョキを大事に包んで振る松潤。
「えぇぇぇ~~(マジかよ)おいら負けたぁ」
広げた掌を見つめるしかなかった。
A「パー出すからだよぉ」
広げたおいらの手をビースサインで切るように挟む相葉ちゃん。
「だってぇ」
相葉ちゃんの人差し指を悔しいから掴んだ。