第87章 浮くと沈むは紙一重

相葉視点

Ｍ「わかった！」
　潤ちゃんの高い声が聞こえる。


Ｍ「勝ってリーダーに〝アイドルスマイル〟効果音付きをしてもらう」
　ニヤニヤ笑いながら大ちゃんに近づく潤ちゃん。


Ｏ「そう言うのは、相葉ちゃんの方がいいじゃん」
　ものすごく困った顔の大ちゃんが俺の肩をポンと叩いて助けを求めてきた。



「えー（無理だよぉ…）

　大ちゃんのアイドルスマイルの方が（絶対！）いいよ！」

大ちゃんの顔をちゃんと見ようと体を向ける。


　大ちゃんの瞳が少しだけ、揺れている。

（ん？　どうしたの？）



Ｎ「いつまで…」
　地面を儚げに見つめる翔ちゃんの背中に抱き付く不安そうな顔のカズ。


（なに、やってるのよ…あの二人は…）


視界の隅に見える二人の謎の行動を確認しにいきたいけど、
今は、目の前にいる　今にも泣いちゃいそうな大ちゃんの方を優先したい。


「おおちゃん　どうしたの？」

Ｏ「…あわせてくれない…　…ふんじゃった…」
　蚊の鳴くような声で言う大ちゃん。


（　あわせないで？　ふんじゃった？

　意味　分かっ…ん　ぅん　ぁ！）


「翔ちゃんの事？」
大ちゃんに素直に聞いてみた。

　大ちゃんが何も言わず下を向いた。


（そうなんだね…）

翔ちゃんを見る。

　ムスッとした顔で、カズの頭を見ている。


（なるほど　カズは翔ちゃんのご機嫌取りしているのねぇ）


「翔ちゃんは、心配しなくても、大丈夫だと思うよ？」


Ｏ「そぉ…？」
　不安いっぱいな声の大ちゃん。


「うん　ほら　カズがね　翔ちゃんにくっ付いているから、たぶん大丈夫…」



　翔ちゃんの背中に顔を埋めたカズが微動だにしない。

（きっと、今カズが翔ちゃんの心の声を代弁しているんだろうなぁ…）


　パンっ！　パンっ！

　掌を合わせた音が　二回響く。


その音の方を向くと、潤ちゃんがニコッと笑って近づいてきた。

Ｍ「さー　続いてやりましょう！」
　潤ちゃんが俺と大ちゃんの肩を抱く。



Ｍ「あ・い・こ！」
　グーの手を軽く降る笑顔の潤ちゃん。


　大ちゃんが笑った。


「じゃ！」
潤ちゃんのグーにグーを近づける。

　大ちゃんのグーも近づいてきた。

「あいこぉで！　しょ！！」
俺の声にあわせて、手が動く。