第6章 仕事へ 歩き出す
櫻井視点
車から出たら、沢山の一般の人がいた。
(あー 人いっぱい いる……)
嵐のファンだけなら、ファンサもいいと思う。
でも、ココはハワイ。観光地だ。
ココにお金を払って遊びに来ている人が、僕らのファンでない事だってある。
嫌いかもしれない。
(ココの滞在時間は長くて15分だ。
少しでも早く撮影場所に行かないと、リハの時間が押す…)
気が付くと一人ブツブツ言いながら、歩いていた。
視線を感じて、その視線の主を探した。
直ぐに主はわかったけど、いつもの雅紀の顔じゃない。
いつも、文法無視した話をしてくる雅紀が、ただ、ジーっと見ていた。
だから「なに?」っと声をかける。
A「ううん…何でもないよ」
ニコッと雅紀が優しく笑った。
「そう?
ずっとこっち見てるから“何か気になる事でもある”のかな?
って思ったけど…
時間無いから、急ごう!」
歩くスピードを少し上げて、真っ直ぐ伸びる道に出た。