第83章 魂を同じとする者
桃木視点
私は 桃木祥太郎 櫻井翔となる魂の古き【前の者】
万物の理(ことわり)を捻じ曲げてまで 願い を叶えようとする罪人である。
その願いに今 一番近し所にある。
私は宮様のように振る舞う事ができない…
宮{マーはショウと何やら密談をしておるの}
和也殿の反応を楽しむ 宮様が見て取れる。
和也殿が宮様に反論している。
魂を同じとする者である 二人の容姿は酷似している。
(宮様の御心が和まれたのは、良いことなのだが…)
宮{その 紙束に何を書いている}
和也殿が持つ紙の束を覗きこむ宮様。
(あれは 翔の私物…お控え願います)
宮様と和也殿の間に〝御簾〟を下す。
慌てる宮様
(翔の内側を覗くのは、この私の胸がざわつく…)
O「ふふ かわいい」
智殿が 和也殿と宮様のやり取りを、優しい目で見ている。
(懐かしき微笑み…)
宮{怖いなぁ 御仁~}
私の御簾から己の意思で出て智殿の方に近づく宮様。
メンバーと向き合う和也殿 から 宮様の衣を掴もうとする和也殿が分離した。
≪あの人は ここなら ガッツリ猴っお前も見えるんだ!大人しくしろよ≫
分裂した和也殿が宮様の衣をしっかりつかんで、智殿の方に行かせまいとしている。
(ああ やはり 過度の接触は、今世を生きる者の魂にはよくない)
O「頭ン中 言葉がグルグルしてるぅの 翔くんもニノもかわいいって思ってね」
智殿声によって、分離していた和也殿の魂は同化した。
(智殿のお心の深さに救われております)
宮{ははっっはっっはっはは}
変則的な笑い声。
N「もう いいですか?」
和也殿が怒らかす声を出す。
(もう 引き取りましょう)
『宮様 戯れが過ぎますよ』
私の声によって宮様の動きが止まる。
宮{桃木…}
宮様がゆっくり私の方を向く。
『はい 宮様』
呼ばれたから返事をする。
宮{今まで ドコにおった…}
『近く離れずの場所に控えておりました』
宮{お主は衣冠(いかん)を着て来るとは…}
『宮様も束帯(そくたい)をお召しではありませんか』
宮{お菊が着ろとうるさくて、仕方なくじゃ}
『よくお似合いです』