第79章 魂を同じとする者たち
猴視点
… 猴…
(カズナリが呼んでいる?)
菊「宮さま?いかがされました?」
{カズナリが呼んでおる。帰るぞ}
菊「はい。」
お菊が一枚の敷物を引いた。
{うむ}
敷物上に胡坐を組む。
お菊が、小さい猿の姿になり敷物先に座った
お嬢「では、戻りましょう」
ふわりと浮き上がり、カズナリたちが居るであろう宴の席に進みだす。
その回りに白いオウムと犬神のモモが飛んでいた。
{ほほぉ 臣下を連れての凱旋も良いな!}
モモ「俺は 宮さまの臣下ではないぞ」
鳥「私も重席は好みません。」
{真面目よのう。戯言だ}
お嬢「そうそう!本気にしてはいけませんよ♪」
空から 嵐の五人が見えてきた。
それぞれの輝き と その取り巻き
(我も カズナリの…一つの欠片…)
{我はこのまま進む 主らは それぞれの間合いを取るがいい}
体を傾け、足を組んだまま、カズナリの頭上に降りていく。
カズナリは紙束に文字を書いて、我の存在に気づかずにいた。
{我を呼ぶも…}
口づけができるほど、顔を近づけても顔を上げぬカズナリ。
{我に気づかぬとは、戯けたものだ}
顔を近づけていく。
≪わ!≫
カズナリが驚きの声をあげる。
(面白き顔をしおって!)
≪びっくりした 急に逆さまで出てくるなよ!≫
カズナリが我の額を押して間合いを取る。
{ふふふふ}(赤き顔の可愛き事)
{我がいなくて 寂しかったのであろう?}
胸もとから扇子を出し、カズナリの顎をつつく。
≪さ 寂しくないよ…≫
扇子を紙束で払ったカズナリが少し慌てる。
{よいよい そういう事にしておてやろう!}
扇子を口元に持って行き笑いを堪える。