第6章 仕事へ 歩き出す
二宮視点
「翔さんの方に行きたいでしょうが、今は僕の傍にいてくださいね」
抱き付きながら智さんに言う。
O「何言ってる。今は仕事だぞ。
誰の傍って…立ち位置は指示されるよ…」
思った以上に大人の対応をする智さん。
(無理しちゃって…目が寂しそうですよ…)
「素直じゃないんだから…もう」
体を少し突っつく。
O「や、やめろよ」
体をくねらしながら、前を歩く二人について行く俺たち。
周りを確認しなくても感じる熱視線。
“ファン”とは 諸刃の剣
俺たちの活動を応援してくれて、支えてくれる人達
俺たちより、俺たちの事を知っている人達
(好きなのはわかる。ありがたい。
でも、時と場所を選ぶ。
今は騒いでいないけど、きっかけがあれば、動き出す
その場にあった行動を取ってほしいよ)
≪周囲。行動の監視強化!≫
{心得ている。安心して進め}
小さな光の粒が周りを周回して散っている。
(今の智さんを不用意にカメラに収められると困る。
これは、僕ら嵐の特権なんですから!
“大宮”と呼ばれる智さんと俺の2ショット。
堂々と手を繋げるし、ハグ位なら“キャー”って喜んでくれる。
(それにしても…ちょっと、体が冷たい…
マー君が気にしたのは、これですね…
天然の癖に敏感なんだから
回復かけてのコレなんだったら
ステータス異常?
この状況はなんだろう…眠り?いや、冷たいから毒かぁ…?
万能の『エスナ』
精神的なら『ディスペル』の方がいいかも…)
脳内で考えていると「無駄に力使うなよ」っと智さんが俺にだけに聞こえる小さい声で話しかけてきた。
「え?なに?」
(心の声が漏れていたの?)
O「大丈夫だから…今は仕事しろ!」
智さんは柔らかい顔でこっちを見ていた。
「はーい」
とぼけた顔で返事をしてまた抱き付く俺。
んふふっっと智さんが笑った。
エスナ FFの魔法
毒や睡眠などの不利なステータス異常を治療する魔法。
ディスペル FFの魔法
「解呪」の名が示す通り「〇〇を打ち消す」という効果がある。