第78章 魂の宴 挨拶文を作ろう
櫻井視点
潤が俺から逃げるように体を動かすから「逃げるなよぉ」と言いながら肩を抱き寄せる。
体が綺麗に回転して、俺の胸の中にスンナリ収まった潤。
少し顔を赤くしながら「逃げてないよぉ」という潤。
(ふふふ そんな顔して言っても ダーメ!)
「さー 松本くんも挨拶文の案を出すのだ!」
ニシシと漫画みたいに歯を出して言うと、潤が目を大きく見開いて、眼球を小刻みに揺らす。
(おいおい 何 キョドっているのぉ?)
M「精霊様からの“十五年の年月は 童より人に成長”とか、嬉しかったなぁ」
ちょっと口元をモゴモゴさせながら言う潤。
(お! 成長したねぇ ちゃんと 回答ができるようになった!!)
O「ああ いい言葉だったねぇ」
智くんが腕を組んで頷く。
(そうだね🎶 俺も 気に入ってる!)
俺の腕の中からスルッと抜け出す潤。
(あ…逃げられた…)
A「この宴で俺たち〝嵐〟は“元服した”ってことでしょ?」
雅紀も腕を組んで話し始める。
「雅紀はそう取ったんだ」
雅紀の方に体を向ける。
A「違うの?」
雅紀から真っ直ぐ質問がきた。
(おいおい 自分の発言に自信を持てよ…確かに…)
「この〝花〟を」
ハイビスカスの髪飾りをさわる。
「古代中国の成人儀礼‘冠礼’(かんれい)として考えると、その考えは正しい事になるよ
でもさぁ 30超えて『元服』っていわれてもね…」
A「実年齢は、仕方がないよ」
クシャッと笑う雅紀。
「だなぁ そっちは(元服式)したの?」
クイッと顎が動く。
A「え? あ うん…中二の時にね したよ
翔ちゃんは? 式場借りたんじゃないの?」
「俺は『内々で』って 群馬の(祖父の)家でね(こじんまり)雅紀は?」
A「俺?本邸にね『来い!』って 呼び出されちゃった」
クスッと小さく笑って肩を上げる雅紀。
「そう お互い(独特のしきたりあったから)たいへんだったね…」
(俺は 花 お前は 羽…)
N「もう いいですか?」
和也の刺々しい声が聞こえてきた。
振り向くと
白い目の和也
ニヤケ顔の智くん
う~んと顔の潤
「あぁ ごめんね
(また 語っちゃったて)
挨拶の言葉案がそっちのけになっていたね」