第75章 魂の宴 話して 聞きたい
櫻井視点
さっきまでの力強い『感覚』からものすごく優しい『感覚』が俺の腕を行ったり来たりしている。
(はぁ ソフトタッチですねぇ こんな事されると 我慢できなくなるよ…)
A「おーい♪」
雅紀の元気な声が飛んできた。
(あ!雅紀帰って来た)
智くんの顔を見る。
いつもの朗らかオーラがまだない。
(うぅ~ こんな顔の智くんを見せたら、雅紀の心配が溢れてしまう)
雅紀は『不安』や『心配』に人より敏感。その事を自分の事のように考え、悩む。
「智くん。雅紀にそんな顔見せると、心配するよ?」
(分かってると思うけど、一応ね?一応ぉ…)
O「そうだね…」
返事をしてくれたけど、あんまり変わらない表情の智くん。
(う~ 速攻で確実に、顔色を… …あ!)
「智くん!」
俺が名前を呼ぶから智くんは反射的に顔を上げる。
チュ!っと少し音が出るように智くんの頬にキスをした。
え?っと口が動いた。
(ふふ かわいい!!
変な気分吹っ飛んだでしょ?
あ!でも)「潤に内緒ね?」(後で、説明大変だから♪)
頬を触り続ける智くん。
(あれ? イヤだったかな…)
A「おーちゃん。見て 見て これね!」
雅紀が何か箱を持って、テンション高めに走ってきた。
A「あれ? どうしたの?」
智くんをのぞきこむ雅紀。
ロボットみたいにカクカク首を動かして雅紀の方を向く智くん。
A「大ちゃん顔真っ赤!!」
思った事をそのまま叫けぶ雅紀。
(ああもうぉ そういう事言うと、潤とかが 騒ぐでしょ?)
雅紀が不安そうに俺を見る。
(? どうした?
あぁ 俺に確認? いう訳ないでしょ? ね 智くん)
距離を取りながら舌を出すと、困ったような眉をハの字して、雅紀の方を向く智くん。
ピョンピョンとスキップして近付く潤が見えた。
(潤の機嫌 いいね 切り抜けれるだろう)
A「ねー もう 酔ったの?せっかく ケーキのオーダーもしたのにさぁ」
ガバッと抱きつく雅紀。
(雅紀は 大丈夫だな あとは 和也だけかぁ)
潤の後に歩いてきた和也は、もうすでに機嫌が悪い顔をしていた。
(一番厄介なんだよなぁ…
機嫌をどうやって取ろうかな…)