第73章 魂の宴 食べて飲んで 話して
櫻井視点
和也が『食べよう』と動いた時、雅紀が箸を差し出した。
(うん いいタイミング!!)
N「ありがとう」
和也がサラダを食べ始める。
(よし!和也が食べ始めた)
智くんも よかった と肩から力が抜ける。
(雅紀もあんな穏やかな顔してるから、二人は大丈夫だな…)
回りを確認する。
空の色は青く透き通っている。
(なぁ)
{なーにぃ}
(さっきのってさ)
{ただの感情爆発よ…気にしなくて、大丈夫}
(そうか、ならいい)
{それより見てるわよ}
微かに感じていた視線に注意を持っていくと潤が何か食べながら見ていた。
(潤…いつから見てた?俺の声は…)
{この会話は、あの子の耳では聞き取れないわ}
(聞こえなくても、独り言ブツブツって、イタイだろ?)
{そう?}
(そうだよ、最近ヘタレのイメージ固まってきてるし)
{仕方ないじゃない、翔が選んだ“道”よ}
(わかってる。この“人”と『生きる』って…
俺の腕から伝わる貴方の‘力’で今『貴方が生きている』って
俺も『生きている』
そんな 他の人からしたら、可笑しな感覚に幸せを見出だしたんだ)
{そうだったわね…でも、そろそろ何とかしないと、腕…紫よ?}
(言われなくても、わかってます‼ 今の兄さんには、なに言っても聞こえないの‼)
少しでも血流をと思って、指をグーパーさせてていると「そろそろ 翔くんの腕…離してあげて」と潤が智くんに声をかけた。
智くんが俺の腕を見て、顔をあげた。
(え?腕つかんでたこと忘れてた?
わー 早く声かけなくて)
「ごめんね?(でもね)そろそろ(腕)痛くなる」(んだよね)
O「ご、ごめん!!」
あわてて、腕を離す智くん。
(い、いや そんなに慌てなくても…)
O「大丈夫?」
智くんが泣きそう。
(もう…こんなことで、泣かないでよ…)
「だ、大丈夫だよ ほら!」
手をオーバーに手を広げる。
O「でも!でも…」
智くんが俺の腕をそっと包み込む。
「ホントだよ!!」(本当に痛かったら、ちゃんと言うから…)
責任を感じているのか、智くんがずっと俺の腕を擦る。
(本当に、怪我とか気にするよね…
いつの頃からかな…
自分はよくて、他の人の怪我や痣に敏感になったの……)