第70章 精霊からの祝福
二宮視点
虹の乙女の姿が元の絹にドレスに戻って、
人の姿になった虹の精霊を恭しく、一番大きな聖なる岩へ先導する。
岩の上に虹の精霊が鎮座する。
この場に集まっていた精霊達が、次々煌びやかな衣を纏って俺たち『嵐』の前に進み依ってくる。
{虹の精霊イーリスの祝福に追随する}
中位の精霊様が俺の体を触れて“祝福”をくれる。
精霊の祝福は、精霊様から“振れて”頂くもの。
此方から、触って“貰う”物じゃない。
(ま、『ただの人』ごときが、精霊に触られることはできないけどね)
祝福には、精霊様からの明確な意思がこもっている。
心地よい時は満点。 擽ったい時は好意。
鳥肌が立つ時は、良い時と悪い時色々あるから よくわからない
精霊側に嫌悪がある時には、気持ち悪くなる。
虫が這うほど気持ち悪くなる時は、明らかな悪意だ。
(この“場”にお越しの精霊様は…)
せっかくのタキシードに合わせた髪形も見事にぐちゃくちゃになるほどの隅々までさわる
「人の子がそんなに珍しいですか…」
ふぅと小さく息をはく。
(でも、こういう手荒な祝福も、いいモノだよ!)
祝福を終えた精霊は聖岩に戻って行く。
{お疲れ様でした}
乙女が翔さんに微笑みながら、腰から下を少し沈ませる、礼をする。
S「はは、確かに…たくさんの祝福をいただきましたね…」
小さき精霊が、せわしなく乱れた髪型や服装の身なりを整える。
{では、宴をはじめましょう}
乙女の声で空間は一気にパーティ会場へと変わる。
たくさんの花を飾られたテーブルに、ハワイアンドレスを来た少女が色鮮やかな果物や、美味しそうな香りのする料理の乗った皿を持って次々とやって来る。
{ドウゾ…}
少女がニコッと笑って空のシャンパングラスをトレイに乗せて近づいてきた。
(この少女も精霊なのか?)
少女はニコニコしている。
(空だけど…、今から注いでくれるのかな?)
笑顔で、グラスを受け取る。